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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行コ)40

事件名

 固定資産税等変額決定処分取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成15年(行ウ)第58号)

裁判年月日

 平成19年6月26日

裁判所名

 大阪高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 地方税法(平成15年法律第9号による改正前)348条2項12号にいう「学術研究のため直接その研究の用に供する固定資産」の意義
2 財団法人が運営する病院の土地建物及び償却資産に対する固定資産税,都市計画税の各賦課決定処分が,いずれも全部取り消された事例

裁判要旨

 1 地方税法(平成15年法律第9号による改正前)348条2項12号にいう「学術研究のため直接その研究の用に供する固定資産」とは,民間学術研究機関がわが国の学術及び産業の振興上重要な使命を有することにかんがみ,これに対し財政的援助を行い,学術の研究の遂行を容易にすることを目的として規定されたものであるとの同号の趣旨とその文言とに照らせば,常態として直接に学術研究の目的に供される固定資産及びそれを物理的又は機能的に維持管理するために通常必要とされる固定資産をいうものと解するのが相当である。
2 財団法人が運営する病院の土地建物及び償却資産(以下「本件不動産等」という。)に対する固定資産税,都市計画税の各賦課決定処分につき,同財団法人は,寄附行為の目的条項に医学に関する総合研究を行い,あわせて大学医学部における学術の研究を助成し,研究の成果の普及を図り,もって学術,文化の発展に寄与することなど,学術の研究を行う趣旨を掲げており,かつ,医学に関する総合研究所と臨床医学研究用病院とを兼ねた組織として前記病院を設立し,臨床医学研究を含む医学の総合的研究を行っており,その組織,運営及び活動の実体からみて前記研究という目的に副っているものと認められるから民法第34条の法人で学術の研究を目的とするものに当たり,また,本件不動産等は,すべて前記病院の施設,その敷地及び医療機器等であるところ,前記病院は,医学に関する総合研究を行い,併せて前記大学医学部における学術の研究を助成し,研究の成果の普及を図るという目的のもとに,各部門が有機的に結合し,各施設が機能的に設置されていることが認められるのであって,本件不動産等の少なくともその大部分が常態として直接に学術研究の目的に供されているといえるから,同部分については地方税法(平成15年法律第9号による改正前)348条2項12号に該当するとして,前記病院のうちごく一部の施設のみが同号に該当し,それ以外は該当しないとの判断に基づいてされた前記各処分は違法であるとして,これを取り消した事例

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