裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成18(行コ)337
- 事件名
行政文書部分公開決定処分取消請求控訴事件(原審・新潟地方裁判所平成17年(行ウ)第13号)
- 裁判年月日
平成19年6月13日
- 裁判所名
東京高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
警察庁刑事局刑事企画課長から県警本部長に対して送付された「凶悪重大犯罪等に係る出所情報の活用について」と題する文書のうち,(1)出所者の入所罪名,(2)出所者の出所事由の種別,(3)出所情報ファイルの有効活用の項目に記載された各情報が,新潟県情報公開条例(平成13年新潟県条例第57号)7条4号に非開示事由として規定する公共秩序維持情報にいずれも該当しないとされた事例
- 裁判要旨
警察庁刑事局刑事企画課長から県警本部長に対して送付された「凶悪重大犯罪等に係る出所情報の活用について」と題する文書のうち,(1)出所者の入所罪名,(2)出所者の出所事由の種別,(3)出所情報ファイルの有効活用の項目に記載された各情報につき,新潟県情報公開条例(平成13年新潟県条例第57号)7条4号が,非開示事由として「公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」と規定したのは,将来予測としての専門的技術的判断を要する当該情報の性質にかんがみ,これを公にすることにより犯罪の捜査等に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が判断した情報については,その実施機関の第一次的な判断を尊重し,裁判所は,その実施機関の予測的判断が合理性を持つ判断として許容される限度内のものであるかどうかを審理判断するのが相当であるという趣旨によるものと解されるとした上,前記出所者の入所罪名及び同出所者の出所事由の種別として記載されている情報については,出所者の大部分が「凶悪重大犯罪等に係る出所情報の活用」に関する制度の対象にされていることは,既にマスコミ等を通じて公表されているのであるから,重い犯罪を犯して刑に服したという自覚のある者は,前記各情報が公にされるのを待つまでもなく,自身がこの制度の対象とされていることを当然に認識し,又は認識し得る状況にあるものと考えるのが自然であり,また,出所情報ファイルの有効活用の項目に記載されている情報については,本文わずか3行程度にすぎず,前記文書が,法務省から警察庁に提供された出所情報を警察庁において整理,編集することにより作成した電磁的記録の有効活用及び適正な取扱いの確保を目的として警察内部の運用指針を示したものであり,個別具体的な犯罪の捜査に関するものではないことを考慮に入れると,このような文書の外形自体に照らし,同情報にこれを公開すると犯罪の捜査等に支障を及ぼすおそれのある情報が記録されているものと考えることは困難であるとして,前記各情報は,いずれも同条例7条4号に非開示事由として規定する公共秩序維持情報に該当しないとした事例
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