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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成15(行ウ)92

事件名

 公文書一部不開示決定取消請求事件

裁判年月日

 平成19年6月29日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 建築基準法に基づく指定確認検査機関・立入検査報告書のうち,参考として添付された資料に記載された当該物件について確認検査員の資格を有しない補助員による建築基準法違反の検査がされたという情報が,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成15年法律第61号による改正前)5条6号イ及び同号柱書後段の不開示情報に該当しないとされた事例

裁判要旨

 建築基準法に基づく指定確認検査機関・立入検査報告書のうち,参考として添付された資料に記載された当該物件について確認検査員の資格を有しない補助員による建築基準法違反の検査がされたという情報につき,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成15年法律第61号による改正前。以下同じ)5条6号が,同条1号ただし書ロ,2号ただし書のように「人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報」を明示的に不開示情報から除外していないことにかんがみると,同条6号は,柱書にいう「当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」か否かの判断において,人の生命,健康,生活又は財産の各利益を保護するために当該情報を公にする必要があるか否かを考慮要素の一つとして勘案することを予定しているものと解されるとした上,前記情報は,建築物及びその敷地が国民の生命,健康及び財産の保護を図る目的から建築物の敷地,構造及び用途に関する最低の基準を定めた建築基準関係規定に適合しているか否かを法定の資格を有する確認検査員により実地に検査させることにより,当該建築物に係る国民の生命,健康及び財産の保護を図ろうとする建築基準法及び指定機関省令の趣旨を没却する内容のものであって,当該物件の所有者ないし利用者等の生命,健康及び財産に重大な関係を有する情報であるとともに,このような物件については,建築基準関係規定の定める建築物の敷地,構造及び用途に関する最低の基準が満たされておらず,その結果,当該物件に係る国民の財産のみならず生命,健康に対する重大な被害が発生する事態が一般的に相当の蓋然性をもって予測されるものといわざるを得ず,上記文書に含まれる法人等の確認検査業務に係る営業戦略に関する情報を公にしないことにより保護される当該法人等の営業上の利益ないし競争上の地位と,上記文書に記録された当該物件について確認検査員の資格を有しない補助員による建築基準法違反の検査がされたという情報を公にすることにより保護される当該物件に係る国民の生命,身体及び財産とを比較衡量した場合,後者が前者を上回ることは明らかであるから,前記情報は,人の生命,健康又は財産を保護するため公にすることが必要であると認められる情報に当たるというべきであり,当該情報を公にすることが当該検査の適正な遂行ということもできるとして,同号イ及び同号柱書後段所定の不開示情報(事務事業情報)には該当しないとした事例

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