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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成12(行ウ)14

事件名

 新東京国際空港にかかる工事実施計画の変更認可処分取消等請求事件

裁判年月日

 平成19年10月19日

裁判所名

 千葉地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 中央省庁等改革関係法施行法(平成11年法律第160号)により国土交通大臣がしたとみなされる新東京国際空港公団に対する航空法(平成15年法律第124号による改正前)55条の3第1項に基づく新東京国際空港の航空保安無線施設及び航空灯火の各工事実施計画変更認可の行政処分性
2 新東京国際空港公団に対する航空法(平成15年法律第124号による改正前)56条の2第1項に基づく延長進入表面,円錐表面及び外側水平表面の変更指定の取消しを求める訴えにつき,前記指定に係る延長進入表面等の投影面内に不動産を有する者又は不動産について権利を有する者のうち,前記指定によって新たにあるいは従前以上に制限表面による私権制限を受けることとなる者の原告適格を肯定した事例
3 新東京国際空港公団に対する航空法(平成15年法律第124号による改正前)56条の2第1項に基づく新東京国際空港の延長進入表面,円錐表面及び外側水平表面の変更指定の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 1 中央省庁等改革関係法施行法(平成11年法律第160号)により国土交通大臣がしたとみなされる新東京国際空港公団に対する航空法(平成15年法律第124号による改正前)55条の3第1項に基づく新東京国際空港の航空保安無線施設及び航空灯火の各工事実施計画変更認可の行政処分性につき,新東京国際空港公団法(昭和40年法律第115号。平成15年法律第124号により廃止)における前記公団の目的,資本金の出資者,役員等の人事,業務,財務及び会計,監査等に係る各規定によると,前記公団は,実質的には国と同一体をなすものといえ,機能的には国土交通大臣の下部組織を構成し,国家行政組織の一環に位置付けられるところ,このような国土交通大臣と前記公団との関係,ことに,空港の設置及び管理を行うに当たって,前記公団は,国土交通大臣が定め,前記公団に指示した基本計画に従わなければならないことに照らせば,前記変更認可は,いわば下級行政機関に対する上級行政機関の監督手段として行われる承認の性質を有するものと解すべきであり,行政機関相互の内部的な行為と同視すべきであるから,前記公団に対して認可に係る建設工事の実施権限を新たに付与する法的効果を発生させるというような外部に対する効力を有さず,また,直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定する効果を伴う行為ではなく,いずれも抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。
2 新東京国際空港公団に対する航空法(平成15年法律第124号による改正前)56条の2第1項に基づく延長進入表面,円錐表面及び外側水平表面の変更指定の取消しを求める訴えにつき,制限表面等の範囲の変更を生じることとなる前記指定は,制限表面による私権制限の範囲を変更する法的効果をも有するが,前記指定に先立つ工事実施計画変更認可及びその告示により,進入表面等の投影面内に不動産を有する者又は不動産について権利を有する者は既に私権の制限を受けていたとして,前記指定に係る延長進入表面等の投影面内に不動産を有する者又は不動産について権利を有する者のうち,前記指定によって新たにあるいは従前以上に制限表面による私権制限を受けることとなる者について原告適格を肯定した事例
3 新東京国際空港公団に対する航空法(平成15年法律第124号による改正前。以下同じ)56条の2第1項に基づく新東京国際空港の延長進入表面,円錐表面及び外側水平表面の変更指定の取消請求につき,延長進入表面等による私権の制限は,地上から40メートル以上という高度の高い場所を対象とするところ,前記指定当時,前記空港周辺には延長表面等の上に出る建築物はなかったのであり,延長表面等の投影面内には近い将来高層建築物の建設が必要となるような人口密度が高く就労人口の多い都市はなかったから,前記指定は空港周辺の土地利用者の利益を著しく害することはなく,同法56条の3第1項所定の実体的要件を具備しており,また,指定に当たって,同法39条2項及び40条の手続的要件も充足されているから,前記指定は適法であるとして,前記請求を棄却した事例

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