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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行コ)176

事件名

 財産の管理を怠る事実の違法確認等請求控訴事件(原審・宇都宮地方裁判所平成17年(行ウ)第11号)

裁判年月日

 平成19年7月19日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 市が,同市住民らによるごみ処理施設へのごみ搬入阻止行動により同市の業務が妨害されたとして損害賠償請求訴訟を提起し,同人らのうち一名が請求を認諾したことにより債務名義を得たにもかかわらず,同名義に係る債権につき強制執行手続をとらないことは違法であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,市長に対してした怠る事実の違法確認の請求が,棄却された事例

裁判要旨

 市が,同市住民らによるごみ処理施設へのごみ搬入阻止行動により同市の業務が妨害されたとして損害賠償請求訴訟を提起し,同人らのうち一名が請求を認諾したことにより債務名義を得たにもかかわらず,同名義に係る債権につき強制執行手続をとらないことは違法であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,市長に対してした怠る事実の違法確認の請求につき,地方自治法施行令171条の2第2号は,債務名義のある債権について督促しても履行されないときは,強制執行の手続をとることを地方公共団体の長に義務付けているが,同条ただし書は,一定の場合にその義務を解除しているところ,前記債権は,債務名義を有する確定債権として存在し,法律的にはその債権の回収手続に障害がなく,債務者の資力に問題がないが,前記債権発生の由来,その他の諸事情にかんがみれば,債権者である市としては,前記債務者以外の住民らに係る訴訟手続が完了していない時点においては,前記債権の取扱いについて行政としての慎重な検討を要するというべきであり,市長が,前期訴訟の動向をみた上で前記債権の行使を検討することとして,強制執行の手続に着手しないことは,同条ただし書の「その他特別の事情があると認める場合」に当たり,同条本文の規定による強制執行の手続をする義務が解除されるものと解するのが相当であるとして,前記請求を棄却した事例

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