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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(行ウ)146

事件名

 損害賠償請求事件

裁判年月日

 平成20年1月30日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 普通地方公共団体の「非常勤の職員」に対する期末手当の支給の可否
2 市の臨時的任用職員が,地方自治法204条1項にいう「常勤の職員」に当たらないとされた事例
3 市の臨時的任用職員に対し期末手当に相当する一時金の支給をしたことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長個人及び前市長個人に損害賠償の請求をすることを市長に対し求める請求が,認容された事例

裁判要旨

 1 地方自治法203条から204条の2までの規定によれば,普通地方公共団体の「非常勤の職員」(議会の議員を除く。)については,条例をもってしても期末手当を支給することは許されない。
2 市の臨時的任用職員が,地方自治法204条1項にいう「常勤の職員」に当たるかにつき,同項にいう「常勤の職員」とは,その勤務の態様に照らして当該勤務が当該職員及びその家族の生計を支えるいわゆる生活の糧を得るための主要な手段と評価し得るような職務に従事する職員をいい,そのような職員に該当するか否かについては,当該職員の任用形式のみならずその職務の内容及び性質等をも勘案し社会通念に従って決すべきものと解されるとした上,1週間当たりの勤務時間が常勤の職員の所定の勤務時間の4分の3を超えるような態様の勤務に従事する職員は,同法204条1項にいう常勤の職員に該当するものと推定されるというべきであり,1週間当たりの勤務時間が常勤の職員の4分の3を超えるか否かについては,当該職員の任用に当たって勤務条件として提示された勤務時間のみではなく,職務の内容及び性質並びに職員の配置状況等にかんがみ職員の職務内容が客観的にみて普通地方公共団体における常勤の職員の所定の勤務時間の4分の3を超える勤務を要するものであるか否かという観点から社会通念に照らして判断すべきであるところ,前記臨時任用職員については,1週間当たりの勤務日数が3日の者は,その1週間当たりの勤務時間は常勤の勤務時間の6割弱(約58.1%)にしかすぎず,社会通念に照らしても,そのような勤務時間に係る勤務が前記勤務に従事する職員及びその家族の生計を支えるいわゆる生活の糧をえるための主要な手段となっているとは直ちに認め難いから,「常勤の職員」に該当すると認めることはできないとした事例
3 市の臨時的任用職員に対し期末手当に相当する一時金の支給をしたことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長個人及び前市長個人に損害賠償の請求をすることを市長に対し求める請求につき,地方自治法203条から204条の2までの規定は,普通地方公共団体の議会の議員を除く「非常勤の職員」については,条例をもってしても期末手当を支給できないとしているところ,前記臨時任用職員については,同法204条1項にいう「常勤の職員」に該当すると認めることはできないから,前記一時金の支給は違法であり,また,前記市の給与条例は,臨時的任用職員の給与に関する事項を規則に委任しているものと解されるところ,そのような規則は制定されていないから,前記一時金の支給は,およそ条例の根拠を欠き,同法204条3項,204条の2,地方公務員法25条1項等の規定(給与条例主義)に反し,違法であるなどとして,前記請求を認容した事例

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