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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行コ)75

事件名

 退去強制令書発付処分取消等,退去強制令書の執行を受けない地位確認等,退去強制令書執行差止各請求控訴事件(原審・東京地方裁判所 平成16年(行ウ)第315号,平成17年(行ウ)第230号,平成18年(行ウ)第106号)

裁判年月日

 平成19年7月19日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 中華人民共和国残留邦人の母とともに本邦に上陸し,以後24年間にわたり本邦に居住して生活している中国国籍を有する男性が,出入国管理及び難民認定法(平成16年法律第73号による改正前)49条1項に基づく異議申出をしたのに対し,法務大臣から権限の委任を受けた入国管理局長がした同申出には理由がない旨の裁決は,在留特別許可を認めなかった点で違法であり,同裁決を前提とする入国管理局主任審査官がした退去強制令書の発付処分も違法であるとしてした前記裁決及び発付処分の取消請求が,いずれも棄却された事例

裁判要旨

 中華人民共和国(以下「中国」という。)残留邦人の母とともに本邦に上陸し,以後24年間にわたり本邦に居住して生活している中国国籍を有する男性が,出入国管理及び難民認定法(平成16年法律第73号による改正前)49条1項に基づく異議申出をしたのに対し,法務大臣から権限の委任を受けた入国管理局長がした同申出には理由がない旨の裁決は,在留特別許可を認めなかった点で違法であり,同裁決を前提とする入国管理局主任審査官がした退去強制令書の発付処分も違法であるとしてした前記裁決及び発付処分の取消請求につき,同法(平成17年法律第66号による改正前)50条1項3号に基づき在留特別許可をするか否かの判断が違法となるのは,その判断は全く事実の基礎を欠き,又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど,法務大臣等に与えられた裁量権を逸脱し,又は濫用した場合に限られるとした上,前記男性の本邦における在留状況は極めて悪質であるといわざるを得ず,犯罪性向や規範意識の著しい欠如がみられ,他方,同人が本国に帰国した場合にその生活に特段の支障が生じるとはいえず,同人が中国在留邦人の子であること,本邦において長期間在留することによって生活の基礎を築いてきたこと,同人のきょうだいや日本人の実子が本邦で居住していることを考慮しても,同人に在留特別許可を付与しないとの入国管理局長の判断において,その与えられた裁量権の範囲を逸脱又は濫用したものであるとは認められないから前記裁決は適法であるとして,前記請求をいずれも棄却した事例

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