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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行コ)13

事件名

 勧告無効確認請求控訴事件(原審・高松地方裁判所 平成17年(行ウ)第4号)

裁判年月日

 平成19年6月19日

裁判所名

 高松高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 医療法(平成18年法律第84号による改正前)30条の7(現行法30条の11に相当)の規定に基づき県知事が行った病院開設中止の勧告の手続に重大かつ明白な違法があるなどとしてした同勧告の無効確認請求が,棄却された事例

裁判要旨

 医療法(平成18年法律第84号による改正前)30条の7(現行法30条の11に相当)の規定に基づき県知事が行った病院開設中止の勧告の手続に重大かつ明白な違法があるなどとしてした同勧告の無効確認請求につき,同条に規定する「医療計画の達成の推進のため特に必要がある場合」という勧告の処分要件の充足性についての認定及び同要件の充足が肯定される場合における勧告の実施ないしその内容についての判断に関しては,医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図り,もって国民の健康の保持に寄与するという医療法の趣旨目的に照らし,都道府県知事に各地域の実情等を踏まえた上での一定の裁量を認めているものと解され,また,都道府県知事が前記勧告を行う場合の手続については,同法上は都道府県医療審議会の意見を聴くことが必要とされているのみであり,それ以外の手続については都道府県知事の適切な裁量にゆだねられていると解されるところ,病床調整は,医療計画の達成という行政目的を実現するために特定の者に対してその任意の協力を期待して行われる事実上の行為(行政指導)であり,手続としての透明性,公平性及び公正性が要求されているものの,仮に前記医療審議会への意見聴取や関係医療機関相互の病床調整の手続に重大な瑕疵があったとしても,そのことから直ちに勧告処分が無効になるものではなく,原則として取消事由となり得るに止まると解されるが,前記勧告権限の発動に至る手続において,都道府県知事が与えられた裁量の範囲から著しく逸脱し,あるいはこれを濫用したことが明らかである場合には,当該手続に基づく勧告処分については重大かつ明白な手続的瑕疵があるものとして無効となり得るとした上で,前記病床調整の進め方には,透明性や公平らしさの点では問題があったが,実質的な意味での公平性及び公正性を欠くものであったとまではいえず,前記勧告に至る手続全体を通してみれば,前記勧告の無効をもたらすような重大かつ明白な違法があったとまでは認められないなどとして,前記請求を棄却した事例

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