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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成16(行ウ)1

事件名

 固定資産税等の免除措置無効確認等請求事件

裁判年月日

 平成17年4月21日

裁判所名

 熊本地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 朝鮮会館として使用されている建物及びその敷地の各一部分は,熊本市税条例施行規則6条2号ウの「公民館類似施設」に該当するとしてされた固定資産税及び都市計画税の免除措置が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項2号に基づき,同免除措置が無効であることの確認を求める主位的請求,同措置の取消を求める予備的請求,同項3号に基づき,市長がその徴税権を行使しないことの違法確認を求める請求及び同項4号に基づき,市長個人に損害賠償の請求をすることを市長に対して求める請求が,いずれも棄却された事例

裁判要旨

 朝鮮会館として使用されている建物及びその敷地の各一部分は,熊本市税条例施行規則6条2号ウの「公民館類似施設」に該当するとしてされた固定資産税及び都市計画税の免除措置が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項2号に基づき,同免除措置が無効であることの確認を求める主位的請求,同措置の取消を求める予備的請求,同項3号に基づき,市長がその徴税権を行使しないことの違法確認を求める請求及び同項4号に基づき,市長個人に損害賠償の請求をすることを市長に対して求める請求につき,地方税法367条を受けた熊本市税条例50条1項2号が,固定資産税を減免できるものとして「公益のために直接専用する固定資産」を規定しているが,地方公共団体の長が,いかなる固定資産を固定資産税減免の対象として認めるかは,当該固定資産において営まれている事業の公共性の認定,直接専用している部分の認定,必要性の認定等を含めて,当該固定資産税の減免という手段によって達成しようとする行政目的の下において行使される地方公共団体の長の合理的な裁量に委ねられていると解されるから,その裁量権の行使に逸脱又は濫用があったと認められる場合に限り,違法との評価を受けるものというべきであるところ,前記条例50条1項2号を受けてこれを具体化した前記規則6条2号ウにいう「公民館類似施設」は,当該施設の利用対象者や設備内容,利用実態等の面において,社会教育法所定の公民館に類していると評価でき,一定の公益性を備えた施設を指すものと解されるとした上,児童,勤労者,女性,高齢者,身体障害者等の一定の属性を有した住民のみを対象とする施設(児童文化センター,勤労青少年ホーム,婦人会館,老人福祉会館等)が公民館類似施設に該当することは明らかであるところ,前記各一部分は,在日朝鮮人を主な利用対象者とする施設であるが,この点は,利用者の一定の属性に着目した前記施設と類似し,また,在日朝鮮人以外の者の利用も,規則や運用上可能とされていることなどからすれば,前記各一部分は,多数の住民を利用対象者としていると評価でき,利用者の教養の向上や社会福祉の増進等に奇与するために利用されていると評価することができるから,前記各一部分が公民館類似施設に該当して固定資産税等の減免の必要性があるとした市長の判断が裁量権を逸脱し,又は濫用したものと評価することはできないとして,前記各請求をいずれも棄却した事例

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