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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(行ウ)19

事件名

 議員報酬支給差止請求事件

裁判年月日

 平成19年2月21日

裁判所名

 水戸地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 市と村が合併するに当たり,旧市町村の合併の特例に関する法律(昭和40年法律第6号,平成17年3月31日限り失効)7条1項を適用して旧村議会議員を引き続き合併後の市の市会議員として在任させることとした,合併協議会における決定は,合併前の前記市の市民の投票価値の平等を害し違憲,無効であり,旧村議会議員に対して議員報酬を支出することは地方自治法2条16項,138条の2及び203条並びに地方財政法4条1項に違反するとして,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,旧村議会議員に対する議員報酬の支出の差止めを市長に対して求める請求が,棄却された事例

裁判要旨

 市と村が合併するに当たり,旧市町村の合併の特例に関する法律(昭和40年法律第6号,平成17年3月31日限り失効。以下「旧合併特例法」という。)7条1項を適用して旧村議会議員を引き続き合併後の市の市会議員として在任させることとした,合併協議会における決定は,合併前の前記市の市民の投票価値の平等を害し違憲,無効であり,旧村議会議員に対して議員報酬を支出することは地方自治法2条16項,138条の2及び203条並びに地方財政法4条1項に違反するとして,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,旧村議会議員に対する議員報酬の支出の差止めを市長に対して求める請求につき,旧合併特例法7条1項に規定する議会の議員の在任に関する特例の制度は,効率的な事務ないし予算の執行を図るため市町村行政の広域化を進める必要があり,そのための市町村合併に伴う段階的な制度統一の中で,飽くまでも合併関係市町村の協議により一定の期間に限定して議員資格を認めるというものであって,合理性が認められるものであるし,合併関係市町村の協議によって,合併関係市町村の議会の議員が,引き続き合併市町村の議会の議員として在任できることとされた場合であっても,それは飽くまで合併後の合併市町村の議会の議員として在任するものであって,合併前の合併関係市町村の議員,代表として在任する者ではないから,合併前の合併関係市町村の住民の間で投票価値の不平等の問題が生じるものではないとした上で,前記合併に関しては,前記合併協議会において,編入をする合併関係市町村である前記市の市議会議員の在任期間までと期間を限って,合併関係市町村である前記市及び前記村の議会の委員を引き続き合併市町村である市の議会の議員とすることが決定されたものであり,その決定に違法,不当な点は認められず,前記合併により,旧村議会議員は市議会議員としての地位を取得しているから,市長が旧村議会議員に議員報酬を支出することについても,何ら違法,不当な点は存在しないとして,前記請求を棄却した事例

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