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行政事件 裁判例集

事件番号

 昭和57(ネ)611

事件名

 損害賠償請求控訴事件(原審・東京地方裁判所昭和52年(ワ)第7674号)

裁判年月日

 昭和60年8月26日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1  第二次大戦下において戦死傷し,日本国と中華民国との間の平和条約(昭和27年条約第10号)の発効により日本国籍を喪失した台湾人及びその遺族らが,国に対し,軍人又は軍属という地位に基づいてした戦死傷による損失の補償を求める請求が,右戦死傷は一種の戦争損害であり,これについていかなる範囲,程度の補償をするかは,国の立法政策にゆだねられており,具体的な法規に基づくことなく右の地位自体から当然に請求し得るものではないとして,棄却された事例 
2 第二次大戦下において戦死傷し,日本国と中華民国との間の平和条約(昭和27年条約第10号)の発効により日本国籍を喪失した台湾人及びその遺族らが,憲法29条3項,13条に基づいてした国に対する損失補償請求が,その死傷の時期は憲法の施行前であるから憲法の適用はないのみならず,いわゆる戦争被害に対する補償や救済は戦争放棄を定める憲法の全く予想しないところであって,これについていかなる補償,救済措置を講ずるかは国の立法政策にゆだねられており,具体的な立法措置をまたず,直接右憲法の規定に基づいて国に損失補償を請求し得るものではないとして,棄却された事例 
3 第二次大戦下において戦死傷し,日本国と中華民国との間の平和条約(昭和27年条約第10号)の発効により日本国籍を喪失した台湾人及びその遺族らが,憲法14条に基づいてした給付請求が,戦傷病者戦没者遺族等援護法及び恩給法がいずれもその受給資格を日本国籍を有する者に限定していることは,合理的理由のない差別であるとまではいえないから,右の者らが右各法による給付を受けられないとしても憲法14条に違反するものではなく,また,援護又は恩給給付の具体的内容は,国会及び政府によって決定されるベき事項であり,右決定をまたず,直ちに右憲法の規定に基づき具体的請求権を行使し得るものでもないとして,棄却された事例 
4 第二次大戦下において戦死傷し,日本国と中華民国との間の平和条約(昭和27年条約第10号)の発効により日本国籍を喪失した台湾人及びその遺族らが,国に対し,軍人又は軍属という地位に基づいてした戦死傷による損失につき日本国民と同等の補償を行うことを内容とする法律を制定しない不作為が憲法及び法律に違反することの確認を求める無名抗告訴訟が,制定すべき法律の内容が憲法上一義的に特定しているとはいえないから,その許容されるべき要件を欠く不適法なものであるとして,却下された事例

裁判要旨

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