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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行コ)139

事件名

 不作為の違法確認(住民訴訟)請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成18年(行ウ)第365号)

裁判年月日

 平成19年8月29日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 マンション建設事業者が東京都の特別区のマンション等建設指導要綱に基づいて同区に対して支払を約束した同要綱所定の公共施設整備協力金の残金の支払を区長が請求をしないことが,財産の管理を怠る事実に当たるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づいてした,前記請求をしないことが違法であることの確認を求める訴えが,不適法であるとはいえないとされた事例
2 マンション建設事業者が東京都の特別区のマンション等建設指導要綱に基づいて同区に対して支払を約束した同要綱所定の公共施設整備協力金の残金の支払を区長が請求をしないことが,財産の管理を怠る事実に当たるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づいてした,前記請求をしないことが違法であることの確認を求める請求が,棄却された事例

裁判要旨

 1 マンション建設事業者が東京都の特別区のマンション等建設指導要綱に基づいて同区に対して支払を約束した同要綱所定の公共施設整備協力金の残金の支払を区長が請求をしないことが,財産の管理を怠る事実に当たるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づいてした,前記請求をしないことが違法であることの確認を求める訴えにつき,前記区が前記事業者に対して前記残金の支払請求権を有しているか否かという点は本案の問題というべきであって,財産の管理を怠る事実として主張されている前記支払請求をしないという不作為は存在しているというべきであるとして,前記訴えは怠る事実の不存在等の理由により不適法であるということはできないとした事例
2 マンション建設事業者が東京都の特別区のマンション等建設指導要綱に基づいて同区に対して支払を約束した同要綱所定の公共施設整備協力金の残金の支払を区長が請求をしないことが,財産の管理を怠る事実に当たるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づいてした,前記請求をしないことが違法であることの確認を求める請求につき,前記公共施設整備協力金の納付を求める行為は,事業者による学校用地の提供,事業者による用地提供,公共施設の整備等と並んで,マンション建設により必要となる公共施設への受入れ等の対策を講じるため,区が事業者に対して行う行政指導の一つであり,前記指導要綱34条1項において,区は事業者に対し,一定のマンションを対象に,所定の算式により導かれる金額の公共施設整備協力金を求めるものとする旨定められているが,これは,行政指導における公正の確保と透明性の向上を図るため,区が,事業者に対し,同条2項に基づき,その額を減ずる措置を執らない限り,同条1項所定の算式によって算定される額の公共施設整備協力金の支払を求める方針であることを定めたものと解され,前記指導要綱34条1項は,前記のように行政指導の公正の確保と透明性の向上を図ることを目的とする内部基準にとどまる以上,同条1項それ自体によって,同条2項に基づく減額措置が執られない場合においては,事業者が同条1項所定の算式によって算定される額の公共施設整備協力金の支払を義務付けられると解する余地はないことは明らかであるとした上,前記覚書には前記協力金について具体的に言及されている条項は全くなく,同覚書の交換によって前記事業者が前記区に対して前記指導要綱34条1項の基準に従って算出される額の前記協力金の納付を約束したとはいえないとして,前記請求を棄却した事例
 

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