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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行ウ)17

事件名

 不動産取得税賦課処分取消請求事件

裁判年月日

 平成19年8月23日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 商法(平成17年法律第87号による改正前)373条以下所定の新設分割を行ったことに伴い信託財産の委託者兼受益者の地位を譲り受けた会社が,その後の信託契約終了により当該信託財産たる不動産を取得した場合において,前記会社を吸収合併した会社に対してされた前記不動産の取得に係る不動産取得税賦課処分の取消請求が,認容された事例

裁判要旨

 商法(平成17年法律第87号による改正前)373条以下所定の新設分割を行ったことに伴い信託財産の委託者兼受益者の地位を譲り受けた会社が,その後の信託契約終了により当該信託財産たる不動産を取得した場合において,前記会社を吸収合併した会社に対してされた前記不動産の取得に係る不動産取得税賦課処分の取消請求につき,地方税法(平成18年法律第7号による改正前)73条の7第4号が,委託者のみが受益者となるいわゆる自益信託により受託者から当該受益者に信託財産を移す場合における不動産の取得を非課税としたのは,いわば信託行為によって委託者から受託者に形式的に移転した所有権が,信託終了によって委託者兼受益者に形式的に戻されるだけのことであり,形式的な所有権移転にすぎないとして,これを非課税にしたものと考えられるところ,同号にいう委託者を,信託契約締結時から信託契約終了時まで継続して同一の委託者である場合のみに限る旨の文言は存在せず,また,前記分割は,同条2号にいう政令で定める分割に当たると認められるところ,同号が,法人の合併や政令で定める分割による不動産の取得を形式的な所有権の取得であるとして非課税にしていることに加え,前記のような同法(前記改正前)73条の7第4号の趣旨に照らせば,法人の合併や,前記分割のように政令で定める分割によって委託者の地位が形式上移転したにすぎない場合に,これを同号の委託者に該当しないと解釈すべき根拠はないというべきであるから,前記不動産の取得は同号に該当し,不動産取得税を課することはできないとして,前記請求を認容した事例

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