裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成17(行ウ)114
- 事件名
損害賠償等請求事件
- 裁判年月日
平成19年8月10日
- 裁判所名
大阪地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
市が,健康保険法に基づいて設立された健康保険組合に対し,その規約に基づく保険料の事業主の負担金として,一般保険料及び調整保険料額の78分の52に相当する金額を支出したことについて,前記支出のうち,事業主と被保険者の負担割合をそれぞれ2分の1ずつとして計算した額を超える部分は違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長個人に損害賠償の請求を,前記組合に不当利得返還の請求をすることを市長に対して求める各請求が,いずれも棄却された事例
- 裁判要旨
市が,健康保険法に基づいて設立された健康保険組合に対し,その規約に基づく保険料の事業主の負担金として,一般保険料及び調整保険料額の78分の52に相当する金額を支出したことについて,前記支出のうち,事業主と被保険者の負担割合をそれぞれ2分の1ずつとして計算した額を超える部分は違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長個人に損害賠償の請求を,前記組合に不当利得返還の請求をすることを市長に対して求める各請求につき,健康保険法は,労働者(被保険者)の業務外の事由による疾病,負傷等に関して相互扶助の精神に基づく保険制度を設け保険給付を行うことによって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とするものであって,同法の定める健康保険制度は,保険給付に要する費用を被保険者において負担することをその本旨とするものである上,同法161条が保険料の負担割合につき被保険者及び事業者がそれぞれ2分の1ずつ負担することを原則として規定していることをも併せ考えると,健康保険組合の規約でもって前記健康保険制度の本旨に反する程度まで著しく被保険者の負担割合を軽減することはもとより,その程度に至らないまでも,健康保険法が保険料を被保険者及び事業者が折半して負担することを原則としている趣旨を没却する程度に事業主の負担割合を増加することも,同条の許容するところではないと解すべきであるとした上で,同法162条,同法附則2条7項に基づいて事業主の負担割合を法定の2分の1を超えて3分の2にまで増加することを内容とする前記規約47条は,前記健康保険制度の本旨に反するということはできないのみならず,同法が保険料を被保険者及び事業者が折半して負担することを原則としている趣旨を没却する程度に事業主の負担割合を増加するものであるとまでいうこともできず,したがって,同法162条の許容する範囲を逸脱するものではないから,前記規約47条の規定を違法と解すべき根拠は見いだせず,同規定に基づいてされた前記支出が違法であるとはできないとして,前記各請求をいずれも棄却した事例
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