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行政事件 裁判例集

事件番号

 昭和57(行ウ)6等

事件名

 違法公金支出差止請求,土地無償譲渡差止請求事件

裁判年月日

 昭和61年5月28日

裁判所名

 千葉地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 憲法89条にいう「公の支配」の意義と私立学校に対する公的助成の許否 
2 市が,私立大学医学部附属病院の誘致計画に基づいて取得した右病院建設用地の造成費用等に充てるために公金を支出すること及び右用地を右大学に無償で譲渡することが,右公金支出等には教育振興の目的が含まれ,また,公金の使途が明らかであるとともにその支出に伴う公的な監督権限の担保もある上,右公金支出等は右大学の私立学校としての独自性等を侵すものでもないとして,憲法89条に違反しないとされた事例 
3 地方自治法242条の2第1項1号に基づき,市民が市長に対してした私立大学医学部附属病院建設用地の造成費用等に充てるための公金の支出及び右用地の右大学に対する無償譲渡の各差止請求が,右公金支出等は違法なものであるとはいえないとして,棄却された事例

裁判要旨

 1 憲法89条にいう「公の支配」に属しているというためには,同条所定の事業を行う団体等が,国又は地方公共団体による人事,組織及び予算等についての根本的な支配を受けていることまでは必要とせず,それより軽度の法的規制に基づく支配を受けていれば足りると解すべきであり,教育関係法規による法的規制を受けている私立学校は,右にいう「公の支配」に属していると解され,これに対する公的助成は,学問の自由,思想及び良心の自由を侵害しない限り,憲法秩序全体の趣旨から許される。

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