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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行コ)102

事件名

 自動車駐車場指定管理者指定処分取消等請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成18年(行ウ)第50号)

裁判年月日

 平成19年9月28日

裁判所名

 大阪高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 市が設置する駐車場に関し,市が同駐車場の指定管理者との間でした,指定管理者が市に対して毎年度定額の納付金を納付する旨の協定の締結が,財務会計上の行為に当たるとされた事例 
2 市が設置する駐車場に関し,地方自治法244条の2第8項所定の利用料金制を採用し,同駐車場の利用に係る料金を指定管理者の収入として収受させたことが違法であるなどとして,市の住民が,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長個人及び前記指定管理者に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを市長に対して求める請求が,棄却された事例

裁判要旨

 1 市が設置する駐車場に関し,市が同駐車場の指定管理者との間でした,指定管理者が市に対して毎年度定額の納付金を納付する旨の協定の締結につき,前記協定は,地方自治法244条の2第8項及び市の条例に基づき,市が指定管理者との間で,前記駐車場の管理の実施について合意したものであり,同協定は,前記各規定に基づく行政処分の附款の要素を持つとともに,行政契約の要素をも有するものというべきであり,指定管理者は,これに基づき,前記駐車場の利用料金収入を収受することが可能になるとともに,市に対して納付金の支払義務を負担するに至ったものであるから,前記協定の締結は,地方自治法242条1項の「契約の締結」にほかならず,財務会計上の行為に当たるとした事例 
2 市が設置する駐車場に関し,地方自治法244条の2第8項所定の利用料金制を採用し,同駐車場の利用に係る料金を指定管理者の収入として収受させたことが違法であるなどとして,市の住民が,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長個人及び前記指定管理者に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを市長に対して求める請求につき,前記利用料金制は,公の施設の管理受託者の自主的な経営努力を発揮しやすくするとともに,地方公共団体及び管理受託者の会計事務の効率化を図るという趣旨から導入されたものであり,地方公共団体は,同法244条の2第8項に基づき,適当と認めるときは,指定管理者にその管理する公の施設に係る利用料金を当該指定管理者の収入として収受させることができるところ,?前記駐車場の前の駅周辺においては,核店舗の撤退,空き店舗の増加,郊外店の進出,周辺人口の減少等により商業の衰退化が進行していたこと,?市は,車での同駅周辺施設の利用者が減少するとともに,同駐車場の利用台数及び利用料金収入も年々減少傾向にあることを踏まえ,駅前商業地の活性化方策として,同駐車場の効果的,効率的な管理運営を行うことを計画したこと,?市は,同駅周辺における駐車環境の改善を図り,市民の利便及び公共の福祉に資するとともに,商業の振興及び市街地の健全な発展を促進し,地域の活性化に資するため,同条6項,8項所定の指定管理者の指定と利用料金制を採用することにし,箕面市立箕面駅前自動車駐車場条例(平成16年箕面市条例第48号)を制定したこと等が認められ,これらの事実に照らすと,市が前記駐車場の管理につき,利用料金制の導入が「適当と認めるとき」と判断し,前記条例において,指定管理者に利用料金を収入として収受させる旨規定したことが不合理であるとはいえず,同規定に基づき指定管理者が毎年度市に定額の納付金を納付するとする協定を締結したことが,市長の裁量権を逸脱,濫用したものとは認められないとして,前記各請求をいずれも棄却した事例

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