裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成18(行ウ)50
- 事件名
自動車駐車場指定管理者指定処分取消等請求事件
- 裁判年月日
平成18年9月14日
- 裁判所名
大阪地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 市の設置した駐車場の管理を市長が指定する法人その他の団体(指定管理者)に行わせるに当たり,最初に指定管理者を指定する場合に限って公募によらずに既に前記駐車場の管理業務を受託している者を候補者に選定することができるとする市の条例附則は無効であるとして,地方自治法242の2第1項2号に基づき提起された同附則の制定行為の無効確認を求める訴えが,却下された事例
2 市長が公募によらずに既に駐車場の管理業務を受託している会社を指定管理者に指定したことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項2号に基づき提起された前記指定処分の取消しを求める訴えが,却下された事例
- 裁判要旨
1 市の設置した駐車場の管理を市長が指定する法人その他の団体(指定管理者)に行わせるに当たり,最初に指定管理者を指定する場合に限って公募によらずに既に前記駐車場の管理業務を受託している者を候補者に選定することができるとする市の条例附則は無効であるとして,地方自治法242の2第1項2号に基づき提起された同附則の制定行為の無効確認を求める訴えにつき,前記附則の規定内容は,市長は,最初に指定管理者を指定する場合に限って,現に管理する事務を受託している者を指定管理者の候補者として選定することができる旨を定めたものでしかなく,前記附則によって,特定の個人の具体的な権利義務や法的利益に直接影響を及ぼすという事情は認められないから,前記附則の制定行為は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとして,前記訴えを却下した事例
2 市長が公募によらずに既に駐車場の管理業務を受託している会社を指定管理者に指定したことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項2号に基づき提起された前記指定処分の取消しを求める訴えにつき,住民訴訟の対象となる事項は,地方自治法242条1項に定める違法な財務会計上の行為又は怠る事実に限定されており,財務会計上の行為のうち「財産の管理」とは,当該財産としての財産的価値に着目し,その価値の維持,保全を図る財産的処理を直接の目的とする財産管理行為がこれに該当するところ,指定管理者制度は,公の施設の管理を指定管理者に行わせることにより,民間事業者が有するノウハウを活用して多様化する住民ニーズに効率的に対応し,これにより地方公共団体が自ら管理するよりも一層向上したサービスを住民が享受できるようにすることを目的とする制度であって,指定管理者には,公の施設が本来の目的を達成できるようにするため,当該公の施設の使用許可処分等も含めた管理権限が委任され,その有する管理権限は,当該施設施設ないし附属設備の維持,修繕,使用関係の規制等,公の施設が本来の目的を達成させるために行われる管理一般に幅広く及ぶものであるから,指定管理者の指定は,公共用物設置の目的を達成するために行う行政管理的行為であって,当該公共用物の財産的価値の維持,保全を図る財務的処理を直接の目的とする財務会計行為には当たらないとして,前記訴えを却下した事例
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