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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行コ)20

事件名

 身体障害者居宅生活支援費不支給決定処分取消請求控訴事件(原審・神戸地方裁判所平成18年(行ウ)第6号)

裁判年月日

 平成19年9月13日

裁判所名

 大阪高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 身体障害者福祉法(平成17年法律第123号による改正前。以下同じ)17条の5第1項に基づいてした居宅生活支援費の支給申請に対し,市長が同法17条の9及び厚生省大臣官房障害保険福祉部企画課長・障害福祉課長通知(平成12年3月24日障企第16号,障障第8号)に基づいてした不支給決定処分の取消請求が,前記通知の依拠する同条の解釈は誤りであるとして,認容された事例

裁判要旨

 身体障害者福祉法(平成17年法律第123号による改正前。以下「福祉法」という。)17条の5第1項に基づいてした居宅生活支援費の支給申請に対し,市長が福祉法17条の9及び厚生省大臣官房障害保険福祉部企画課長・障害福祉課長通知(平成12年3月24日障企第16号,障障第8号。以下「本件通知」という。)に基づいてした不支給決定処分の取消請求につき,本件通知は,同通知にいう全身性障害者以外は,福祉法のホームヘルプサービスにつき,介護保険法(以下「保険法」という。)の訪問介護で対応できない部分は存在しないとするものであるが,身体障害者福祉法17条の9は,類似の法制度である福祉法のホームヘルプサービスと保険法の訪問介護の相互の関係につき,福祉法によるホームヘルプサービスにかかる生活支援費と介護保険法による訪問介護では,それぞれの金額(限度額を含む。)の具体的な算定過程も異なっていることから,その両者に差異があることを当然の前提として,その重複する部分について,保険法による訪問介護が優先することを定めたものにすぎないと解すべきであるから,本件通知の依拠する同条の解釈は,福祉法の立法目的,理念に沿うものではなく,福祉法と保険法の関係について,行政の法令解釈に裁量の余地があることを十分に考慮してもなお,その裁量の範囲を逸脱したものとして,法令の正当な解釈を示すものということはできないとした上,前記処分は,福祉法と保険法の関係についての解釈を誤り,本来すべき申請人に対するホームヘルプサービスの支給量を具体的に認定することなく,本件通知に基づいて,保険法の訪問介護で対応できない部分は存在しないと認めてされたものであって違法であるとして,前記請求を認容した事例

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