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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行ウ)482

事件名

 建築確認処分取消請求事件

裁判年月日

 平成19年9月27日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 建築基準法6条の2第1項に基づく確認の処分の取消しを求める訴えにつき,近隣住民の原告適格を肯定した事例 
2 既存の建築確認に建築基準関係規定に適合しない部分がある場合において,同部分を変更する内容の建築確認をすることの適法性 
3 地下1階地上30階の高層棟と地下1階地上5階の低層棟とで構成された建築物であり,低層棟地下1階が高層棟の北側と約6.9メートルの幅で構造体が隣接する形状になっていて,低層棟1階から3階までの構造体は,高層棟の構造体と約3メートルの距離がある位置に存するが,いずれの階も,低層棟に設置された渡り廊下により隣接しており,同部分がエキスパンション・ジョイントにより接続されているマンションが,建築基準法施行令1条1号の「一の建築物」に当たるとされた事例

裁判要旨

 1 建築基準法6条の2第1項に基づく確認の処分の取消しを求める訴えにつき,建築確認に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者は,当該建築確認の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消しの訴えにおける原告適格を有するとした上,当該建築物の高さが96.24メートルであった場合において,当該建築物の敷地から約38メートル離れた土地上の建築物に居住する近隣住民らの原告適格を肯定した事例 
2 建築確認がされた後,変更された建築計画につき建築確認(変更確認)をするに当たっては,既にされた建築確認の存在を前提とするものの,その審査は,変更に係る部分の建築基準関係規定適合性に限定されて判断されるものではなく,変更部分を含めた建築物全体が建築基準関係規定に適合するか否かを改めて審査し,その適否を判断するのであるから,既存の建築確認に建築基準関係規定に適合しない部分がある場合において,同部分を変更する内容の変更確認をしてもそれだけでは違法とはならない。 
3 地下1階地上30階の高層棟と地下1階地上5階の低層棟とで構成された建築物であり,低層棟地下1階が高層棟の北側と約6.9メートルの幅で構造体が隣接する形状になっていて,低層棟1階から3階までの構造体は,高層棟の構造体と約3メートルの距離がある位置に存するが,いずれの階も,低層棟に設置された渡り廊下により隣接しており,同部分が,温度変化による伸縮,地震時の振動性状の違いなどによる影響を避けるために,建物を幾つかのブロックに分割して設ける相対変位により追随可能な接合部の手法及び工法(エキスパンション・ジョイント)により接続されているマンションにつき,建築基準法施行令1条1号が「一の建築物」と定めていることからすると,建築基準法の趣旨を踏まえて,社会通念に照らし,構造上,外観上及び機能上の各面を総合的に判断して,一体性があると認められる建築物は,「一の建築物」に当たると解するのが相当であるとした上,前記高層棟と低層棟とは,?その位置関係及び接続状況からすれば,構造上の一体性を否定されるものではなく,構造上それぞれ独立した建物であるとまではいえず,?これらが接続していることは外観上も看取でき,?一方に設置されたエントランス,集会コーナー,駐車場などの各施設を,高層棟及び低層棟の住民が相互利用する構造であるなど,機能上においても一体のものであるといえるから,同令1条1号の「一の建築物」に当たるとされた事例

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