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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(行ウ)18

事件名

 非開示処分取消請求事件

裁判年月日

 平成20年3月31日

裁判所名

 仙台地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 県警察本部の各課隊における犯罪捜査協力報償費に係る犯罪捜査協力報償費支払明細兼残高証明書,現金出納簿,捜査費支出伺,支払精算書及び領収書に記録された捜査員へ個々の捜査報償費を交付した日,その金額等の情報が宮城県情報公開公開条例(平成11年宮城県条例第10号。平成14年宮城県条例第60号による改正前)8条2項ただし書による同条1項4号所定の非開示事由(公共秩序維持情報)に該当するとした警察本部長の判断が,裁量権の逸脱又は濫用に当たるとされた事例
2 県警察本部の各課隊における犯罪捜査協力報償費に係る支出負担行為兼支出命令決議書,施行伺及び資金前渡職員預金通帳に記録された預金口座番号,起案者である警察職員の氏名,印影,お客様番号の情報が,いずれも宮城県情報公開公開条例(平成11年宮城県条例第10号。平成14年宮城県条例第60号による改正前)8条2項本文により読み替えられた同条1項4号所定の非開示事由(公共秩序維持情報)に該当しないとされた事例

裁判要旨

 1 県警察本部の各課隊における犯罪捜査協力報償費に係る犯罪捜査協力報償費支払明細兼残高証明書,現金出納簿,捜査費支出伺,支払精算書及び領収書に記録された捜査員へ個々の捜査報償費を交付した日,その金額等の情報が宮城県情報公開公開条例(平成11年宮城県条例第10号。平成14年宮城県条例第60号による改正前。以下同じ。)8条2項ただし書による同条1項4号所定の非開示事由(公共秩序維持情報)に該当するとしてされた前記各文書の非開示決定につき,前記報償費の支出が架空である場合には,前記各文書に前記報償費の支出に関する情報が記録されていることを前提とする警察本部長の判断はその前提となる事実の基礎を全く欠くことになるから,同号所定の非開示事由(公共秩序維持情報)に該当するとした判断は裁量権の逸脱又は濫用に当たるというべきであるとした上,開示請求者において,前記報償費の支出のほとんど全部が実体のない架空支出であり,架空支出に係る前記各文書に記録された情報はその実体がないことを立証したが,県において,実体のある支出に係る文書を特定して主張立証すべきところ,これをしないから,前記情報が前記非開示事由に該当するとした警察本部長の判断は,裁量権の逸脱又は濫用に当たるとした事例
2 県警察本部の各課隊における犯罪捜査協力報償費に係る支出負担行為兼支出命令決議書,施行伺及び資金前渡職員預金通帳に記録された預金口座番号,起案者である警察職員の氏名,印影,お客様番号の情報につき,同口座番号及びお客様番号は,前記報償費が資金前渡金として実際に振り込まれる普通預金口座の口座番号を示す情報であるところ,預金口座番号を知ったとしても,通常は,暗証番号を知らなければ預金の不正引き出しは困難であり,警察活動を妨害することを企図して不正入金を繰り返す者が現れたとしても,通常は,そのために警察業務が混乱するなどして犯罪の予防又は捜査等に支障が生ずるまでに至るとは考え難く,また,前記施行伺の起案者である警察職員の氏名,印影を公開したからといって,それらの職員が攻撃の対象になるなどして犯罪の予防又は捜査等に支障が生ずる事態に至るおそれがあるとにわかに認めることができないとして,前記各情報は,いずれも宮城県情報公開公開条例(平成11年宮城県条例第10号。平成14年宮城県条例第60号による改正前)8条2項本文により読み替えられた同条1項4号所定の非開示事由(公共秩序維持情報)に該当しないとした事例

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