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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行コ)41

事件名

 工事施行認可取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成15年(行ウ)第34号)

裁判年月日

 平成19年10月25日

裁判所名

 大阪高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 鉄道の計画予定地の近隣住民らが提起した,鉄道事業法8条2項に基づき国土交通大臣がした前記鉄道の工事施行認可処分の取消請求につき,市の環境条例に基づく環境影響評価手続において対象事業に係る環境影響を受ける範囲であると認められた関係地域内に居住又は勤務する住民らの原告適格が認められた事例
2 鉄道の計画予定地の近隣住民らが提起した,鉄道事業法8条2項に基づき国土交通大臣がした前記鉄道の工事施行認可処分の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 1 鉄道の計画予定地の近隣住民らが提起した,鉄道事業法8条2項に基づき国土交通大臣がした前記鉄道の工事施行認可処分の取消請求につき,工事施行認可に関する鉄道事業法,鉄道営業法及び技術基準省令(平成13年国土交通省令第151号)並びに環境基本法及び大阪市環境影響評価条例(平成10年大阪市条例第29号)の規定の趣旨及び目的,これらの規定が工事施行認可の制度を通して保護しようとしている利益の内容及び性質等を考慮すれば,同法は,これらの規定を通じて,鉄道事業等の運営を適正かつ合理的なものとすることにより,鉄道等の利用者の諸利益を保護し,鉄道事業等の健全な発達を図るなどの公益的見地から鉄道事業の工事施行を規制するとともに,騒音等によって健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある個々の住民に対して,そのような被害を受けないという利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解するのが相当であるとした上で,住民らの住所地又は勤務地は,前記市の条例に基づく環境影響評価手続において対象事業に係る環境影響を受ける範囲であると認められた関係地域の中にあり,鉄道の地上走行部分の沿線に位置する地区であって,同地区で生活する住民らについては,前記工事が施行されることにより騒音等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たると認められるとして,原告の一部に対し原告適格が認められるとした事例
2 鉄道の計画予定地の近隣住民らが提起した,鉄道事業法8条2項に基づき国土交通大臣がした前記鉄道の工事施行認可処分の取消請求につき,鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成13年国土交通省令第151号。以下「技術基準省令」という。)6条にいう著しい騒音の防止の適合性について,環境影響評価書における環境影響評価の判断の過程に看過し難い過誤等があり,処分者の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には,処分者の上記判断は不合理であり,裁量権の逸脱があるものとして不適法と解すべきであるとした上で,前記評価書における環境影響評価の判断の過程に看過し難い過誤等があるとはいえず,前記評価書を参考に技術基準省令6条及び解釈基準適合性を認めた処分者の専門技術的判断には,著しい過誤欠落はなく,裁量の範囲を逸脱した違法はないなどとして,前記請求を棄却した事例

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