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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行コ)15

事件名

 違法公金支出差止等請求控訴事件

裁判年月日

 平成19年10月19日

裁判所名

 大阪高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 退職した市議会議員等に対し,傘寿,卒寿祝いとして市営バス,市営地下鉄の優待乗車証を贈与した行為が,住民訴訟の対象となる財務会計上の行為に当たるとされた事例 
2 退職した市議会議員等に対し,傘寿,卒寿祝いとして市営バス,市営地下鉄の優待乗車証を贈与した行為が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,贈与当時の市長個人に損害賠償の請求をすることを市長に求める請求が,認容された事例

裁判要旨

 1 退職した市議会議員等に対し,傘寿,卒寿祝いとして市営バス,市営地下鉄の優待乗車証を贈与した行為につき,前記優待乗車証は記名式でありその譲渡,換金性がないものの,市内の市営バス及び市営地下鉄における運送役務の給付債権を表章する債権証券であり一定の財産的価値を有するから,それを無償で支給することは地方自治法242条1項の「財産の処分」に当たるとして,前記行為は住民訴訟の対象となる財務会計上の行為に当たるとした事例 
2 退職した市議会議員等に対し,傘寿,卒寿祝いとして市営バス,市営地下鉄の優待乗車証を贈与した行為が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,贈与当時の市長個人に損害賠償の請求をすることを市長に対して求める請求につき,退職した市議会議員に対する待遇が社会通念上礼遇の範囲内にとどまる限り,そのための支出は裁量の範囲内の支出として違法にはならないと解するのが相当であるところ,市は,市政に貢献する活動をするための利用を目的として前記優待乗車証を交付した旨主張するが,交付に当たり使途を限定したことをうかがわせる証拠はなく,全くの私用のための利用も事実上放任されていること,そもそも,当該活動のために,市営バス,市営地下鉄を常に無料で乗車できる乗車証を支給する必要性があるとはいえず,市が失う乗車料収入は決して過小評価できないことなどによれば,前記優待乗車証の交付は,社会通念上礼遇の範囲にとどまっているとはいえず,市長の裁量権の範囲を逸脱した違法な財産処分であるとして,前記請求を認容した事例

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