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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(行ウ)17

事件名

 勧告取消請求事件

裁判年月日

 平成19年10月24日

裁判所名

 水戸地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 医療法(平成12年法律第141号による改正前)30条の7の規定に基づき県知事が病院を開設しようとする者に対してした病床数削減の勧告が違法であるとして,県知事に対してした同勧告の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 医療法(平成12年法律第141号による改正前)30条の7の規定に基づき県知事が病院の開設をしようとする者に対してした病床数削減の勧告が違法であるとして,県知事に対してした同勧告の取消請求につき,行政手続法7条は,各種の申請に関する行政庁による処理につき,透明性,迅速性及び公正性を確保するために,申請の到着後における迅速な審査義務等を規定したものであるが,県知事は,病院開設の許可申請に先立って,事前協議等の方法により病床配分の調整等を実施する必要性が相応に認められる性質の事項について事前協議を行ったのであるから,前記事前協議を行ったことが同条の規定ないし趣旨に違反するということはできないし,行政指導に従わなかったことを理由として,不利益な取扱いをしてはならない旨を定める茨城県行政手続条例(平成7年茨城県条例第5号)30条2項にいう「不利益な取扱い」とは,行政指導を行う者が差別的な意図をもって,行政指導に従わなかった者に対し,行政指導を受ける以前には得られていた利益を損なわしめ,又は,それまで被っていなかった不利益を与えることをいうものと解されるところ,県知事は,当時の病床の配分方針に沿って平等に配分を行ったのであるから,同項に違反する事実は認められないし,医療法(平成12年法律第141号による改正前)30条の7に規定する勧告の要件については,医療計画において設定された病床の配分等に当たっては高度に政策的,専門的な見地から判断することが不可欠であるから,いかなる内容の勧告を行うかについては広範な裁量が認められているというべきであり,当該勧告が,その基礎とされた重要な事実に誤認等があるため重要な前提事実を欠くこととなる場合,若しくは,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,又は,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものと認められる場合などに該当しない限り,当該勧告は,裁量権の範囲内にあると解するのが相当であるところ,県知事がした前記勧告は,前記裁量権の範囲内にあるものであって違法,不当とされることはないし,また,医療法7条の2は,医療施設の計画的な整備を実現をするために,公的医療機関による病院の開設等について規制を強化したものにすぎず,病院の開設等につき民間医療機関が公的医療機関よりも優先されることを規定したものではないから,県知事が,民間医療機関に対する病床配分に先立って公的医療機関に病床配分したことをもって,直ちに同条に違反したものということはできないし,その配分の経緯を見ても,同条の規定ないし趣旨に照らして違法,不当とされる点はないとして,前記請求を棄却した事例

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