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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行コ)4

事件名

 違法確認請求控訴事件(原審・鹿児島地方裁判所平成18年(行ウ)第11号)

裁判年月日

 平成19年10月12日

裁判所名

 福岡高等裁判所  宮崎支部

分野

 行政

判示事項

 町が鉄道会社との間でした町有地の使用貸借契約につき,町長がこれを有償の賃貸借契約に変更すべく前記鉄道会社との間で協議を行わないことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,町長に対してした怠る事実の違法確認請求が,棄却された事例

裁判要旨

 町が鉄道会社との間でした町有地の使用貸借契約につき,町長がこれを有償の賃貸借契約に変更すべく前記鉄道会社との間で協議を行わないことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,町長に対してした怠る事実の違法確認請求につき,使用貸借契約を賃貸借契約に変更した場合に得られる使用料(賃料)は,前記土地の使用の対価として得られる運用利益であって,その財産的価値の一内容をなすものといえ,前記協議は,その意味での前記土地の財産的価値を,町財政への具体的な金銭収入という形で十全に享受できるようにすることを直接の目的とするものであるから,前記土地の財産的価値に着目し,その価値の維持,保全を図る財務的処理を直接の目的とする財務会計上の行為であるといえるとした上,町独自の財政においては前記土地の有効利用が不可能であったこと,前記土地を賃貸借とすると町の誘致に応じる企業がなかったこと,前記鉄道会社により,町の希望を反映させて同土地上にホテルが建設,運営され,一定の経済的効果をもたらしていると認められること等にかんがみると,経済的観点からみても,前記協議を行わないことが地方財政法8条に照らし違法であるとまではいえず,他にこれを違法と評価すべき事情はないから,町長が前記土地の貸借契約を有償に変更すべきと判断して前記鉄道会社と協議を行うか否かは,町長の裁量の範囲内で決すべき事項にとどまっているというべきであり,裁量権の逸脱はないとして,前記請求を棄却した事例

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