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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行コ)259

事件名

 行政文書不開示決定処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成18年(行ウ)第741号)

裁判年月日

 平成19年11月22日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 相続税法(平成18年法律第10号による改正前)49条の規定により,同条の要件に該当する者の相続税の申告書の記載に従って一定期間公示されていた,その者の氏名,納税地及び課税価格の情報が,行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条1号本文所定の不開示情報に該当し,同号ただし書イ所定の例外的開示情報に該当しないとされた事例
2 相続税法(平成18年法律第10号による改正前)49条の規定により,同条の要件に該当する者の相続税の申告書の記載に従って一定期間公示されていた情報のうち,課税価格の情報について,行政機関の保有する情報の公開に関する法律6条2項に基づき前記情報のみを部分開示すべき場合に当たらないとされた事例

裁判要旨

 1 相続税法(平成18年法律第10号による改正前)49条の規定により,同条の要件に該当する者の相続税の申告書の記載に従って一定期間公示されていた,その者の氏名,納税地及び課税価格の情報につき,同情報は個人識別情報といえ,行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条1号本文の不開示情報に該当するところ,過去に公表された情報であっても,開示請求の時点では何人でも知り得る状態に置かれていないのであれば,当然に同号ただし書イにいう「法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報」に該当するとはいえず,当該情報の性質,過去に公表された根拠やその態様等を考慮し,過去に公表されたことによって,当該情報を不開示情報とすることにより保護すべき利益が失われている場合にのみ,同号ただし書イに該当すると解するのが相当であるとした上,前記各情報は,公示期間終了後も長期間にわたり,広く一般の者が当該情報を自ら保存することや,これを保存する第三者に照会することが想定される種類の情報であるとはいい難く,相続税法(前記改正前)49条による公示も,公示に係る申告内容の一部を一般に周知することまでも目的に含んでいた制度ではないことなどからすれば,公示期間が終了した後においては,不開示情報とすることにより保護すべき利益がなお存するというべきであるとして,前記各情報は,同号ただし書イ所定の例外的開示情報に該当しないとした事例
2 相続税法(平成18年法律第10号による改正前)49条の規定により,同条の要件に該当する者の相続税の申告書の記載に従って一定期間公示されていた情報のうち,課税価格の情報について,当該情報を他の一般的な情報と併せ照合するとき,近隣住民など一定範囲内の者には被相続人及びその家族構成などが判明し,同時に,その相続人もまた判明することがあり得るのであるから,かかる場合には,前記課税価格の情報から特定の相続人が相続取得する相続財産額という他人に知られたくない個人情報が明らかになるおそれがないとはいえず,相続人の権利利益を害するおそれがないとは認められないから,行政機関の保有する情報の公開に関する法律6条2項に基づき前記課税価格の情報のみを部分開示すべき場合に当たらないとした事例

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