裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成19(行コ)16等
- 事件名
違法公金支出損害賠償請求控訴事件,同附帯控訴事件(原審・神戸地方裁判所平成17年(行ウ)第55号)
- 裁判年月日
平成19年11月22日
- 裁判所名
大阪高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 市がした教職員に対するポロシャツ及びトレーニングパンツの貸与が給与条例主義に反しないとされた事例
2 市がした教育委員会事務局に配属されている指導主事に対するインストラクタージャケットの貸与が給与条例主義に反し違法であるとされた事例
- 裁判要旨
1 市がした教職員に対するポロシャツ及びトレーニングパンツ(以下「ポロシャツ等」という。)の貸与につき,給与条例主義の趣旨は,地方公共団体の職員の給与に民主的コントロールを及ぼし,給与体系の適正を図る点にあると解されるから,職員に被服を貸与又は支給する場合であっても,それが職務上の必要性があり,前記趣旨を害するおそれがなく,実質的にみて給与の上積みに該当するとはいえないときには,給与条例主義に反しないと解するのが相当であるとした上,市立の学校等においては,運動会や清掃活動などの際,ポロシャツ等が実際に着用されているところ,このような活動は学校行事等として日常的に行われているものであり,衣服の汚損や破損の機会も多く,私物の衣服の使用を前提とすることは教職員に対し酷であることなどから,ポロシャツ等の貸与は,職務上の必要性に基づくものであるといえ,また,貸与されたポロシャツ等の購入額は低額であり,貸与される頻度も多くないこと,新品であっても換金は考え難いこと,その購入に給与課長が関与していないことことなどからすると,ポロシャツ等の購入は備品の購入という要素を持つものであり,職員1人あたりの額及び頻度等からすると,給与条例主義の趣旨を害するおそれがなく,実質的に見て給与の上積みに該当するとはいえないとして,前記貸与は給与条例主義に反しないとした事例
2 市がした教育委員会事務局に配属されている指導主事に対するインストラクタージャケットの貸与につき,給与条例主義の趣旨は,地方公共団体の職員の給与に民主的コントロールを及ぼし,給与体系の適正を図る点にあると解されるから,職員に被服を貸与又は支給する場合であっても,それが職務上の必要性があり,前記趣旨を害するおそれがなく,実質的にみて給与の上積みに該当するとはいえないときには,給与条例主義に反しないと解するのが相当であるとした上,現場における活動が職務の相当部分を占める職場に配属された指導主事が大部分であるとは認められないことなどからすると,インストラクタージャケットを貸与すべき職務上の必要性は認められないところ,その使用実態に照らせば汚損や破損のおそれは大きいとは認められず複数年にわたる着用が可能であること,1着あたりの価格が比較的高額であることに照らせば,その貸与は実質的に給与の上積みであるとして,前記貸与は給与条例主義に反し違法であるとした事例
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