裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(行ウ)431等

事件名

 難民の認定をしない処分取消請求事件(甲事件)・不法残留認定処分取消請求事件(乙事件)

裁判年月日

 平成19年11月2日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 ネパール国籍を有する男性が,帰国すれば特定のテロ組織や政府から迫害されるなどと主張して,法務大臣に対してした,難民の認定をしない処分の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 ネパール国籍を有する男性が,帰国すれば特定のテロ組織や政府から迫害されるなどと主張して,法務大臣に対してした,難民の認定をしない処分の取消請求につき,出入国管理及び難民認定法にいう「難民」とは,同法2条3号の2,難民の地位に関する条約1条A(2)及び難民の地位に関する議定書1条2を合わせ読むと,人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないものをいうところ,難民の本質は,国籍国による保護を受けられない者に対して,国籍国に代わって条約締結国が条約に定められた限度で保護を与えることにあり,国籍国が現に保護している者は難民となり得ないのであるから,通常,迫害は,国籍国の政府自身が主体となるものをいうと解されるが,国籍国の政府以外の者が行為の主体である場合であっても,それが,同政府により故意に容認され,又は同政府が効果的な保護を与えることを拒否し,若しくはそれができないものであるときには,「国籍国の保護を受けることができないもの」ということができ,そのような行為も迫害に当たると解すべきであるとした上で,前記男性が主張する迫害の主体はあくまでも前記テロ組織であってネパール政府ではなく,また,ネパール政府が前記テロ組織を放置していた状況は認められず,むしろ,国軍を動員して治安維持や和平交渉を行っていたことが認められることなどからすると,同政府が前記テロ組織の行為を故意に容認し,又は効果的な保護を与えることを拒否し,若しくはできないときには当たらないとして,前記請求を棄却した事例

全文