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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行コ)2

事件名

 厚生年金再裁定処分取消請求控訴事件(原審・金沢地方裁判所平成16年(行ウ)第3号)

裁判年月日

 平成19年11月28日

裁判所名

 名古屋高等裁判所  金沢支部

分野

 行政

判示事項

 船員保険に関する被保険者期間を302月と裁定した老齢厚生年金再裁定処分が,違法とされた事例

裁判要旨

 船員保険に関する被保険者期間を302月と裁定した老齢厚生年金再裁定処分につき,厚生年金保険法75条ただし書は,保険者側の事務懈怠のために時効期間を徒過し,保険料徴収権が消滅した場合には,被保険者側に不利益を及ぼすべきではないとの趣旨に基づくものと解されるところ,保険料徴収権が消滅したことについて保険者側に責任がある場合には,同条ただし書を類推すべきであるとした上,前記船員保険については,被保険者が被保険者資格を有している期間内に誤って被保険者資格の喪失届書が提出されており,そのような過誤が,前記届書の提出後の手続過程で生じたのであれば,船員保険の現業事務として被保険者資格の得喪の決定をしていた保険者側に責任があり,また,前記届出書が提出される以前に生じたのであれば,被保険者資格の得喪に関する事務処理を行っていたのは,国家総動員法18条のいわゆる統制のためにする経営を目的とする特別法人であり,実質的には企業管理の国策施行期間であるから,保険者側の過誤と同視すべきであって,いずれにせよ,被保険者期間の計算に当たっては,厚生年金保険法75条ただし書を類推適用して前記届書の提出以降の期間についても算入すべきであり,これを算入せずにした前記処分は,違法であるとされた事例

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