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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行ウ)38等

事件名

 開発許可処分取消請求事件,一団地の認定処分取消請求事件,建築確認処分取消請求事件

裁判年月日

 平成19年12月27日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 建築基準法6条1項,6条の2第1項に基づくマンションの建築確認処分の取消訴訟につき,同マンションの建築により通風が阻害される周辺の建築物に居住する者の原告適格を肯定した事例
2 建築基準法6条1項,6条の2第1項に基づくマンションの建築確認処分には,同法56条7項2号,同法施行令135条の5及び135条の7第1項に規定された天空率の制限について,同法令に適合しない算定方法を用いて天空率を算定した誤りがあるなどとして,マンションの建築予定地の周辺住民が提起した前記処分の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 1 建築基準法6条1項,6条の2第1項に基づくマンションの建築確認処分の取消訴訟につき,前記処分は,建築物の建築に当たり,当該建築物及びその周辺の建築物における日照,採光,通風等を良好に保つことを目的とした隣地高さ制限その他の各規制を遵守させることにより,当該建築物により日照,採光,通風等を阻害される周辺の建築物に居住する者の健康を個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むものというべきであるとした上,前記マンションの建築により,居住地において,年平均風速及び日最大平均風速の年間平均値に近似する風速値のいずれもが相当程度低下することが予想され,通風が阻害されるものと認められる者の原告適格を肯定した事例
2 建築基準法6条1項,6条の2第1項に基づくマンションの建築確認処分には,同法56条7項2号,同法施行令135条の5及び135条の7第1項に規定された天空率の制限について,同法令に適合しない算定方法を用いて天空率を算定した誤りがあるなどとして,マンションの建築予定地の周辺住民が提起した前記処分の取消請求につき,同法56条1項2号,7項2号所定の隣地境界線とは,文字どおり当該建築物の敷地とこれに隣接する土地の境界と解すべきであるところ,当該建築物と同一の敷地内の同一の地盤面において隣地高さ制限に適合するものとして想定する建築物(以下「隣地高さ制限適合建築物」という。)の後退距離の制限は,同法施行令135条の7第1項2号括弧書により,前記マンションの敷地についていえば,高さが20メートルを超える部分に限られ,高さが20メートルを超えない部分については,隣地境界線からの後退距離を0として設定できるから,隣地境界線上に隣地高さ制限適合建築物を立ち上げた状態での水平占有角度及び勾配をもって天空率を算定したことに違法はなく,また,隣地境界線が当該建築物の敷地側に屈曲している場合の天空率の算定方法は,同法施行令に明確な定めがないから,同法56条1項2号,7項2号の趣旨を没却するものでない限り適法というべきであり,前記算定において,これらの規定等の趣旨を没却するものであることをうかがわせる事情はないとして,前記請求を棄却した事例

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