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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(行コ)6

事件名

 不動産取得税賦課処分取消請求控訴事件(原審・札幌地方裁判所平成15年(行ウ)第11号)

裁判年月日

 平成19年12月20日

裁判所名

 札幌高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 平成14年に新築により取得された建物に係る不動産取得税の賦課決定処分につき,前記建物に使用された中国産花こう岩の価格の大幅な下落により,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)によっては前記建物の再建築費を適切に算定することができない特別の事情があるとして,前記処分のうち,前記価格の下落を考慮して算出されるべき課税標準額及び税額を超える部分が取り消された事例

裁判要旨

 平成14年に新築により取得された建物に係る不動産取得税の賦課決定処分につき,同建物の評価額の算定に当たって前記建物に使用された中国産花こう岩の標準評点数について花こう岩国産並級品に係る標準評点数を付設したこと自体は誤りではないものの,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号,以下「評価基準」という。)の適用に当たっては,基準年度から第3年度までの間に個別資材の価格の変動が一定の幅にあることを前提とした上で同一の評点数で評価することが地方税法の趣旨に合致しており,価格の変動がこのような幅の中にある限りその変動は評価基準が許容しているものと解すべきであるが,その変動が前提としている一定の幅を超えた場合には評価基準の許容範囲を超え,評価基準によっては固定資産の再建築費を適切に算定できない特別な事情があると解するのが相当であるとした上,前記標準評点数のうちの資材費評点数は財団法人経済調査会発行の積算資料及び財団法人建設物価調査会発行の建築物価に掲載されている価格を基に積算されているところ,花こう岩国産並級品の価格は,前記処分に当たり適用された平成12基準年度の評価基準の価額調査の時点である平成10年1月から前記建物が取得された平成14年6月までの間に前記積算資料の掲載価格で約46パーセントと大幅に下落し,同下落幅が磨き仕上げの花こう岩の資材費評点数の評点項目間における評点数の差の最大値を超えていることなどから,前記の価格下落は前記評価基準の許容範囲を超えると認められ,前記評価基準によっては前記建物の再建築費を適切に算定することができない特別の事情があり,前記評価基準の花こう岩国産並級品の資材費評点数は,少なくとも,前記積算資料の掲載価格の下落率と前記建築物価掲載価格の下落率である約35パーセントの平均である約40パーセント程度は減じるのが相当であるとして,前記処分のうち,これにより算出される課税標準額及び税額を超える部分を取り消した事例

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