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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(行ウ)14等

事件名

 損害賠償請求等住民訴訟事件,損害賠償請求住民訴訟事件

裁判年月日

 平成19年12月27日

裁判所名

 大分地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 町有地を有限会社に無償で貸し付けたことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,前記貸付け当時の町長個人に損害賠償の請求をすることを町長に対して求める請求が,棄却された事例 
2 有限会社に融資をした金融機関との間で町が締結した損失補償契約は,法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律3条に違反し,違法,無効であるとして,地方自治法242条の2第1項1号に基づいてされた前記契約による支出の差止めを求める請求が,棄却された事例 

裁判要旨

 1 町有地を有限会社に無償で貸し付けたことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,前記貸付け当時の町長個人に損害賠償の請求をすることを町長に対して求める請求につき,適正な対価によらない財産の貸付けにつき同法237条2項,同法96条1項6号に規定する議会の議決があったというためには,当該議会の審議において,判断の基礎となる地方公共団体の長らの説明が適正になされたことを要し,その説明に重大な瑕疵がある場合には,前記議決は無効と評価すべきところ,審議の経過を踏まえれば,前記説明に重大な瑕疵があったということはできず,同議決は有効にされたものといえるし,また,適正な対価によらない貸付けの場合は,当該貸付けに公益上の必要性が要求されると解されるところ,地方公共団体の長の権限や役割に照らせば,その他に,当該貸付けの目的,規模,効果のほか,当該財産の従前の利用状況等諸般の事情を考慮して,当該貸付けを行った地方公共団体の長の判断が著しく不合理で裁量権の逸脱,濫用がある場合にのみ,当該貸付けが違法となると解するのが相当であるとした上,前記会社の行う事業全体の内容等を総合考慮すれば,当該貸付けに公益上の必要性があることは否定できないし,長の判断にも裁量権の逸脱,濫用は認められないとして,前記請求を棄却した事例 
2 有限会社に融資をした金融機関との間で町が締結した損失補償契約は,法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律3条に違反し,違法,無効であるとして,地方自治法242条の2第1項1号に基づいてされた前記契約による支出の差止めを求める請求につき,同条は,地方公共団体が法人の負担する債務につき保証契約をなすことを禁止しているが,同条の趣旨を潜脱する目的が明らかであるならともかくとして,一応保証契約と法的に区別される損失補償契約であれば,経済的,法的効果の面において,保証契約と類似する面があったとしても,そのことだけで同条に違反して無効であるとまではいえないとした上,前記損失補償契約は,一般的な保証契約とは法的効果を明らかに異にする面も少なからずあるから,法的に保証契約とは区別できるものであり,その締結をもって同条に違反するとはいえないし,また,私法上無効ともいえないとして,前記請求を棄却した事例 

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