裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行ウ)382

事件名

 行政文書一部不開示決定処分取消請求事件

裁判年月日

 平成20年1月25日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 労働基準監督官の作成に係る監督復命書の「労働保険番号」欄,「事業の名称」欄,「事業場の名称」欄及び「事業場の所在地」欄に記録された情報並びに是正勧告書及び指導票の各控えの交付先(労働基準監督官が当該書面の原本を交付した相手方に係る事業の名称,事業場の名称並びに代表者の職及び氏名)に記録された情報が,いずれも行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条6号イ所定の事務事業情報に当たるとされた事例
2 労働基準監督官の作成に係る監督復命書の「労働保険番号」欄,「事業の名称」欄,「事業場の名称」欄及び「事業場の所在地」欄に記録された情報並びに是正勧告書及び指導票の各控えの交付先(労働基準監督官が当該書面の原本を交付した相手方に係る事業の名称,事業場の名称並びに代表者の職及び氏名)に記録された情報が,いずれも行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条4号所定の公共秩序維持情報に当たるとされた事例

裁判要旨

 1 労働基準監督官の作成に係る監督復命書の「労働保険番号」欄,「事業の名称」欄,「事業場の名称」欄及び「事業場の所在地」欄に記録された情報並びに是正勧告書及び指導票の各控えの交付先(労働基準監督官が当該書面の原本を交付した相手方に係る事業の名称,事業場の名称並びに代表者の職及び氏名)に記録された情報につき,行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条6号は,国の機関,地方公共団体等が行う事務又は事業に関する情報を公にすることにより当該事務等の適正な遂行に支障を及ぼすことが予測される場合において,当該事務等の性質に照らして,前記の支障を及ぼすおそれが,当該情報を公にすることの公益性を考慮してもなお看過し得ない程度のものであり,かつ,具体的なおそれであると認められるときは,当該情報を開示しないことができることとしたものと解するのが相当であるとした上,事業所等が是正勧告を受けた事実及びその内容が公開されることとなると,公開されることを恐れた事業所等が,労働基準監督官等に違反事実が発覚して是正勧告を受けることを避けるために臨検監督に対して非協力的になったり,臨検監督に当たって資料を隠ぺいするなどのおそれがあるということができるところ,事業所等から任意の協力を得られないこととなると,労働基準監督官等が事業所等における実態を正確に把握することや労働基準関係法令違反の事実を迅速に発見して適切な処置を講ずることが困難になり,ひいては,労働者の権利を速やかに回復し,その救済を図ることが困難になるおそれがあるということができるから,前記情報を開示すると,検査及び取締りに係る事務に関し,正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし,若しくはその発見を困難にするおそれがあるということができ,当該おそれは,前記情報を公にすることの公益性を考慮してもなお看過し得ない程度のものであって,かつ,具体的なおそれであると認められるとして,前記情報は,いずれも同号イ所定の事務事業情報に当たるとした事例
2 労働基準監督官の作成に係る監督復命書の「労働保険番号」欄,「事業の名称」欄,「事業場の名称」欄及び「事業場の所在地」欄に記録された情報並びに是正勧告書及び指導票の各控えの交付先(労働基準監督官が当該書面の原本を交付した相手方に係る事業の名称,事業場の名称並びに代表者の職及び氏名)に記録された情報につき,事業所等が是正勧告を受けた事実及びその内容が公開されるとすると,公開を恐れた事業所等が,労働基準監督官等に違反事実が発覚して是正勧告を受けることを避けるために臨検監督に対して非協力的になったり,臨検監督に当たって資料を隠ぺいするなどのおそれがあるということができるところ,事業所等から任意の協力を得られないこととなると,労働基準監督官等が事業所等における実態を正確に把握することや労働基準関係法令違反の事実を迅速に発見して適切な処置を講ずることが困難になり,労働基準監督官等による是正勧告により労働基準関係法令違反の是正が図られないおそれがあるということができるから,是正勧告の事実を公開すると犯罪の予防又は鎮圧その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるというべきであって,労働局長が当該おそれがあると判断したことに裁量権の逸脱又は濫用があったということはできないとして,前記各情報は,いずれも行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条4号所定の公共秩序維持情報に当たるとした事例

全文