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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行ウ)705

事件名

 免許停止差止請求事件

裁判年月日

 平成20年1月18日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 3件の道路交通法違反行為を理由として同法施行令別表第二所定の違反点数が付加された結果,累積点数が6点になったことから,30日間の運転免許停止処分がされる状況になった者がした,前記処分の差止めを求める訴えが,却下された事例

裁判要旨

 3件の道路交通法違反行為を理由として同法施行令別表第二所定の違反点数が付加された結果,累積点数が6点になったことから,30日間の運転免許停止処分がされる状況になった者がした,前記処分の差止めを求める訴えにつき,差止めの訴えの訴訟要件である「重大な損害が生ずるおそれがある場合」とは,当該処分の執行を受けることによって,原状回復若しくは金銭賠償によるてん補が不能であるか,又は社会通念上,そのような原状回復,金銭賠償等で損害を回復させるのが容易でなく,若しくは相当でないとみられる程度に達しているというような損害を被るおそれがある場合をいうと解するのが相当であり,その判断は,処分の執行によって被る損害が,その性質,内容,程度等に照らし,行政目的を達成する必要性との関連において,やむを得ないものと評価することができず,行政目的の実現を一時的に犠牲にしてもなお救済しなければならない必要性があるか否かという観点からすべきものであると解されるところ,同法が,同法違反の事実があり,累積点数が一定の点数になった者について,所定の手続を経て運転免許停止処分をすることを定めていること,及び免許の効力停止等の行政処分手続が達成しようとしている行政目的は,道路交通上危険のある運転者を一定期間道路交通の場から排除して,将来における道路交通上の危険を防止し,道路交通の安全と円滑を図ることであることを考慮すると,運転免許停止処分により,移動の自由や活動がある程度制限され,それに伴って経済的あるいは精神的苦痛等の不利益が生ずることは当然に予定されているというべきであり,そのような損害を被ることは,前記行政目的の実現のため,社会通念上やむを得ないことといい得るとした上,前記処分に基づき自動車及びバイクを運転することができなくなることにより被る損害は,社会通念上,金銭賠償による回復をもっててん補するにとどめることもやむを得ない程度のものというべきであり,「重大な損害を生ずるおそれがある場合」に当たると認めることはできないとして,前記訴えを却下した事例

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