裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成19(行ウ)13
- 事件名
不作為の違法確認等請求事件
- 裁判年月日
平成20年7月15日
- 裁判所名
仙台地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく文書の開示請求に対する同法9条の決定が遅延したことによって損害を被ったとしてされた,国家賠償法1条に基づく損害賠償請求が,棄却された事例
- 裁判要旨
行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく文書の開示請求に対する同法9条の決定が遅延したことによって損害を被ったとしてされた,国家賠償法1条に基づく損害賠償請求につき,行政機関の保有する情報の公開に関する法律10条の期限の定めは,情報公開制度の究極の目的である適正な行政運用の監視,確保という国民全体の一般的利益の実現に資するための目的的な規制であり,開示請求者の権利もそのような目的的な規制と表裏の関係にあり,その遅延があったからといって直ちに国家賠償法上保護に値する権利の侵害があったと評価するのは妥当ではなく,遅延の程度が情報公開制度の目的の実現を阻害する程度に著しいものであるため,社会通念上一般人において受忍すべき限度を超えていると評価できる場合に,初めて国家賠償法上保護に値する権利の侵害があったと評価するのが相当であり,受忍限度を超えたか否かの判断に際しては,遅延期間の長短のみならず,開示請求がされた文書の量,性質,担当する人員数,他の行政事務等の行政側の事情も考慮しなければならないとした上,前記開示請求に係る対象文書は,複数の在外日本総領事館における「報償費」に関する支出決裁文書等であり,その文書の量,特定の程度,他の行政事務等の事情を総合考慮すると,開示,不開示又は部分開示の決定まで9か月又は1年弱程度の期間を要したことは,やむを得ない事情があったというべきであり,前記決定の遅延の程度は未だ情報公開制度の目的の実現を阻害する程度に著しいものであるとはいえず,社会通念上一般人において受認すべき限度を超えた場合に当たるとは認めがたく,国家賠償法1条1項所定の違法があるということはできないとして,前記請求を棄却した事例
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