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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行ク)4

事件名

 仮の義務付けの申立て事件(本案・当庁平成19年(行ウ)第23号 使用不許可処分取消ならびに義務付け請求事件)

裁判年月日

 平成19年10月15日

裁判所名

 岡山地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 市の施設であるシンフォニーホールの使用不許可処分に対し,在日朝鮮人の音楽舞踊家により創立された歌劇団の公演を実行するために組織された実行委員会の代表者が提起した,同処分の取消し及び使用許可処分の義務付けを求める訴えを本案とする同ホールの使用許可の仮の義務付けを求める申立てが,認容された事例

裁判要旨

 市の施設であるシンフォニーホールの使用不許可処分に対し,在日朝鮮人の音楽舞踊家により創立された歌劇団の公演を実行するために組織された実行委員会の代表者が提起した,同処分の取消し及び使用許可処分の義務付けを求める訴えを本案とする同ホールの使用許可の仮の義務付けを求める申立てにつき,行政事件訴訟法37条の5第1項所定の「償うことのできない損害」とは,一般に,執行停止の要件である同法25条2項所定の「重大な損害」よりも損害の性質及び程度が著しい損害をいうが,金銭賠償ができない損害に限らず,金銭賠償のみによって損害を甘受させることが社会通念上著しく不相当と評価される損害を含むと解されるところ,前記公演が実施できなくなることにより,前記代表者は,財産的損害や精神的苦痛を被るほか,憲法によって保障された基本的自由が侵害されることになるため,同人の被る損害は,金銭賠償のみによって損害を甘受させることが社会通念上著しく不相当と評価されるということができるから,同人に生ずる損害は,同法37条の5第1項所定の「償うことのできない損害」に当たり,かつ,前記公演の開催予定日までに本案訴訟の判決が確定することはあり得ないことも明らかであるから,「損害を避けるため緊急の必要」があるときに当たるというべきであり,また,前記公演が実施された場合に,警察の適切な警備によってもなお混乱を防止することができない事態が生ずることが客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測されるものとは認め難く,岡山シンフォニーホール条例(平成3年条例第15号)3条3号が不許可事由として規定する「管理上支障があるとき」に当たらないというべきであるから,「本案について理由があるとみえるとき」に当たるとして,前記申立てを認容した事例

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