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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行ウ)42

事件名

 届出確認書の交付義務付け請求事件

裁判年月日

 平成20年2月25日

裁判所名

 福岡地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則43条2項に基づき店舗型性風俗特殊営業を営む者に対してされた届出確認書不交付通知書の交付の行政処分性
2 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則43条2項に基づき店舗型性風俗特殊営業を営む者に対してされた届出確認書不交付通知書の交付が,適法とされた事例

裁判要旨

 1 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律及び同法施行規則は,公安委員会に対し,同法27条1項の届出がされた場合,当該届出に係る営業所が同法28条1項及び同条2項に規定する営業禁止区域等にあるか否か,営業者が同条3項の既得権を有するか否かを認定判断する権限を付与し,公安委員会において,当該届出をした者に対し,その認定判断の結果を告知し,これに応答すべきことを定めていることからすると,同法27条4項に基づく届出確認書の交付は,当該届出に係る営業所が営業禁止区域等にない,あるいは,同区域等にあっても前記既得権を有する旨の応答であり,同法施行規則43条2項に基づく届出確認書不交付通知書の交付は,当該届出に係る営業所が前記区域等にあり,かつ,営業者が前記既得権を有しない旨の応答と解するのが相当であり,また,店舗型性風俗特殊営業については広告又は宣伝が一般的に禁止されているところ,前記届出確認書の交付があって初めて当該営業に係る広告又は宣伝が可能となるから,同交付は,当該営業に係る広告又は宣伝の一般的禁止を解除する法的効力を有し,さらに,届出確認書不交付通知書の交付は,当該交付を受けた者に対し,当該交付を受けたにもかかわらず当該営業を開始ないし継続した場合には,相当程度の確実さをもって,前記営業廃止命令を受ける結果をもたらすといえ,前記通知書の交付を受けた者は,当該交付を受けた段階で,実際上当該営業の開始ないし継続を断念せざるを得ないことになるから,このような届出確認書及び届出確認書不交付通知書の交付の性質並びに法律上又は事実上の効力にかんがみれば,店舗型性風俗特殊営業を営む者に対してされた前記通知書の交付は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
2 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則43条2項に基づき店舗型性風俗特殊営業を営む者に対してされた届出確認書不交付通知書の交付につき,同法28条3項は,条例によって営業禁止区域等が規定された場合,当該規定の施行又は適用の際現に店舗型性風俗特殊営業を営んでいる者に対し,その当時の営業状態が存続する限りにおいて,当該営業を継続することを認めた経過措置を定めた規定と解されるから,そのような性格に照らせば,営業所の増築,改築等により,建物の構造に大規模な変化があった場合のみならず,より小規模な改築,改装等の結果,従前の営業に比して規模の拡大や営業内容の変更が見られる場合にも,その結果,従前の営業との同一性が失われたものとして,同法28条3項の既得権が失われると解するのが相当であるところ,同既得権の喪失基準について定めた警察庁生活安全局長作成の「風俗営業等の規制及び業務の適性化等に関する法律等の解釈運用基準について」もその内容において同旨であり,同法28条3項の性格に合致するといえるから,同項の解釈としての合理性が認められるとした上,前記の者は,改装工事により,営業所の接客用個室の床面積を増加させているから,前記解釈運用基準が定める前記既得権の喪失要件に該当し,前記既得権を喪失したと認められ,前記通知書の交付は適法であるとした事例

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