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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行ウ)491

事件名

 難民の認定をしない処分取消等請求事件

裁判年月日

 平成20年2月8日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 ミャンマー連邦国籍を有する男性に対して,法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長がした出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分が,当然無効であるとされた事例
2 ミャンマー連邦国籍を有する男性が,法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長がした出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決は,前記男性がミャンマー連邦に送還されれば迫害を受けるおそれがあり同法等に規定する難民に該当するにもかかわらず,在留特別許可を認めなかった違法があるとしてした前記裁決の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 1 ミャンマー連邦国籍を有する男性に対して,法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長がした出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分につき,同項による在留特別許可をしない旨の処分が当該外国人に対してのみ効力を有するもので,当該処分の存在を信頼する第三者の保護を考慮する必要が乏しいこと等を考慮すれば,当該処分の瑕疵が出入国管理及び難民認定法の根幹についてのそれであって,出入国管理行政の安定とその円滑な運営の要請を考慮してもなお,出訴期間の経過による不可争的効果の発生を理由として当該外国人に処分による重大な不利益を甘受させることが著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には,前記の過誤による瑕疵が必ずしも明白なものでなくても,当該処分は当然無効となるとした上,我が国が難民の地位に関する条約及び拷問及び他の残虐な,非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約を批准し,難民の地位に関する条約33条1を前提に出入国管理及び難民認定法53条3項が規定されていること,出入国管理及び難民認定法上の難民の意義,性質等に照らせば,難民である外国人を,これを迫害するおそれのある国に向けて送還してはならないことは明らかであるから,前記処分は,難民である前記男性について在留特別許可を付与せず,その結果,前記男性を,これを迫害するおそれのある国に向けて送還しようとする点において,同法の根幹についての重大な過誤というべき瑕疵を有するとして,当然に無効であるとした事例
2 ミャンマー連邦国籍を有する男性が,法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長がした出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決は,前記男性がミャンマー連邦に送還されれば迫害を受けるおそれがあり同法等に規定する難民に該当するにもかかわらず,在留特別許可を認めなかった違法があるとしてした前記裁決の取消請求につき,出入国管理及び難民認定法が,難民認定申請をした在留資格未取得外国人に係る強制退去手続について同法50条1項の規定の適用を除外したのは,難民認定申請をした在留資格未取得外国人については,同法61条の2の2において,法務大臣が難民認定手続の中で本邦への在留の許否について判断することとしたことから,法務大臣が退去強制手続の中で同法49条1項に基づく異議の申出に対する裁決をするに当たっては,異議を申し出た者が退去強制対象者に該当するかどうかという点に係る特別審理官の判定に対する異議の申出に理由があるかどうかを判断すれば足りることとしたものと解するのが相当であるとした上,前記男性は同法61条の2の6第4項所定の難民認定申請をした在留資格未取得外国人であるところ,同人が難民であることは認められるものの,同人が難民であることは,同人が退去強制対象者に該当するかどうかという点に係る特別審理官の判定に対する異議の申出に理由がない旨の前記裁決の違法事由であるということはできず,他に前記裁決固有の瑕疵に係る主張がなく,前記裁決は適法であるとして,前記請求を棄却した事例

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