裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成20(行コ)1
- 事件名
道路指定処分取消請求・追加的併合請求各控訴事件(原審・東京地方裁判所平成19年(行ウ)第3号(甲事件),同第125号(乙事件))
- 裁判年月日
平成20年3月26日
- 裁判所名
東京高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 建築基準法42条2項の「現に建築物が立ち並んでいる」の意義
2 建築基準法42条2項に基づき告示の方式により道路を指定する処分がされた場合において,同法3章の規定が適用されるに至った時点で,所有地に隣接する道に接する土地を敷地とする複数の建築物は,そのうちの一つを除いて当該敷地が前記道以外の道にも接しており,前記道のみに接する土地を敷地とする建築物は一つしかなかったから,前記道は,同法42条2項の「現に建築物が立ち並んでいる」道に当たらないなどとしてされた前記道路指定処分の不存在確認請求が,棄却された事例
- 裁判要旨
1 既存建築物に配慮して建築基準法42条1項の要件を満たさない一定の道を道路とみなし,他方で,当該道の中心線からの水平距離2メートルの線を道路の境界線とみなして,前記の既存建築物につき新築等を行う場合に道路内の建築を禁止することによって,将来的に4メートルの幅員を確保するとともに,前記の既存建築物の関係権利者の救済を可能にするという同条2項の立法趣旨に照らすと,同項の「現に建築物が立ち並んでいる」との要件については,当該道のみに接する建築物の敷地が二つ以上あれば当該要件を満たすと解すべきである。
2 建築基準法42条2項に基づき告示の方式により道路を指定する処分がされた場合において,同法3章の規定が適用されるに至った時点で,所有地に隣接する道に接する土地を敷地とする複数の建築物は,そのうちの一つを除いて当該敷地が前記道以外の道にも接しており,前記道のみに接する土地を敷地とする建築物は一つしかなかったから,前記道は,同法42条2項の「現に建築物が立ち並んでいる」道に当たらないなどとしてされた前記道路指定処分の不存在確認請求につき,同項の「現に建築物が立ち並んでいる」との要件については,当該道のみに接する建築物の敷地が二つ以上あれば同要件を満たすと解すべきであるところ,当該道に接する二つ以上の建築物の敷地のうち,一つは当該道のみに接し,その余は他の道にも接しているが,いずれの道も同項による指定を受けていない限り同法43条1項の接道義務を果たすべき道路ではない場合,前記の他の道が同法42条2項による指定を受けているものと解すると,当該道のみに接する建築物の敷地は一つのみとなり,当該敷地は同項による救済が図られないこととなるから,同項による道路の指定の評価に当たっては,当該道を他の道に優先させるのが相当であるとした上,そのように解すると,前記時点において,前記道に接する複数の建築物の敷地のいずれもが前記道のみに接する建築物の敷地に当たり,前記道のみに接する建築物の敷地が二つ以上あることになるから,前記道は,同項の「現に建築物が建ち並んでいる」との要件を満たすというべきであるとして,前記請求を棄却した事例
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