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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行ウ)3等

事件名

 道路指定処分取消請求事件(甲事件),追加的併合請求事件(乙事件)

裁判年月日

 平成19年11月30日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 建築基準法42条2項の「現に建築物が立ち並んでいる」の意義
2 建築基準法42条2項に基づき告示の方式により道路を指定する処分がされた場合において,同法3章の規定が適用されるに至った時点で,所有地に隣接する道に接する土地を敷地とする複数の建築物は,そのうちの一つを除いて当該敷地が前記道以外の道にも接しており,前記道のみに接する土地を敷地とする建築物は一つしかなかったから,前記道は,同法42条2項の「現に建築物が立ち並んでいる」道に当たらないなどとしてされた前記道路指定処分の不存在確認請求が,棄却された事例

 

裁判要旨

 1 建築基準法42条2項は,同法3章の規定が適用されるに至った時点において「現に建築物が立ち並んでいる」ことをいわゆるみなし道路に指定する要件としているところ,仮に,当該道のみによって同法43条1項の接道義務を充足する建築物が複数存在する必要があると解すると,告示による一括指定の場合においては,当該道が前記要件を満たすか否かを当該道の状況のみからは判断することができないこととなるばかりか,当該道に接して立ち並んだ建築物の敷地が当該道以外の道に接している場合には,いずれの道を前記道路に指定すべきかという困難な判断を要する場面が生じ得るため,前記道路であるか否かが明確ではなく,法的安定性を著しく損なう結果となる一方,前記要件の文言上,何ら限定が付されていないこと及び前記のような場合に当該道のみによって前記接道義務を充足する建築物でなければならないとの解釈を厳格に貫いた場合,いずれの道も前記道路に指定しないことになり,かえって同法42条2項による救済を図ることができないこととなるから,前記要件は,当該道に立ち並んだ建築物の敷地が当該道以外の道に接しているか否かを問わないと解すべきであって,前記の時点において当該道に接する土地を敷地とする建築物が複数存在していれば,当該要件を満たすと解するのが相当である。
2 建築基準法42条2項に基づき告示の方式により道路を指定する処分がされた場合において,同法3章の規定が適用されるに至った時点で,所有地に隣接する道に接する土地を敷地とする複数の建築物は,そのうちの一つを除いて当該敷地が前記道以外の道にも接しており,前記道のみに接する土地を敷地とする建築物は一つしかなかったから,前記道は,同法42条2項の「現に建築物が立ち並んでいる」道に当たらないなどとしてされた前記道路指定処分の不存在確認請求につき,前記時点において当該道に接する土地を敷地とする建築物が複数存在していれば,同項の「現に建築物が立ち並んでいる」ことの要件は満たされるものと解するのが相当であり,前記時点において前記道に接する土地を敷地とする建築物は複数存在していたとして,前記請求を棄却した事例
 

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