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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行ウ)379等

事件名

 特別掛金納入告知処分取消請求事件(第1事件),特別掛金納入告知処分不存在確認等請求事件(第2事件),訴えの追加的併合事件(第3事件),特別掛金納入告知処分不存在確認等請求事件(第4事件)

裁判年月日

 平成20年3月28日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 加入員の数が基準日と比較して20パーセント以上減少した設立事業所の事業主から当該減少した加入員数に係る未償却債務を一括して徴収することを定めた厚生年金基金の規約が,当該事業主がその意思に基づいて加入員数を減少させる場合に適用される限りにおいて,有効とされた事例

裁判要旨

 加入員の数が基準日と比較して20パーセント以上減少した設立事業所の事業主から当該減少した加入員数に係る未償却債務を一括して徴収することを定めた厚生年金基金の規約につき,厚生年金保険法138条2項ないし6項の規定は,掛金に関する定めを前記基金の規約に委ねることを前提として,前記基金がその定めをする際に拠るべき基準として定められた規定ということができ,その基準は,同規定の趣旨に適合する内容のものである限り,同規定内容から一定程度変容した内容の規定を規約に定めることを許容する基準であると解するのが相当であるとした上,同条5項は,前記基金から設立事業所が脱退する場合に積立不足があるときは,受給権の確保及び他の設立事業所との公平を図る観点から,当該脱退事業所の従業員や退職者が今後前記基金から受け取る給付に係る不足分であり当該脱退事業所が負担すべき部分を,その事業主から一括徴収する旨を定めたものと解されるところ,この趣旨からすれば,前記基金がその規約において,営業譲渡や従業員の転籍等,設立事業所の事業主がその意思に基づいて加入員数を減少させた場合に,これを前記基金からの脱退に準ずる行為とみて,当該減少した加入員数につき同項に準ずる計算方法で算定された額の掛金を,当該設立事業所の事業主から一括徴収する旨を定めたとしても,同項の趣旨に適合するといえ,同条2項及び3項の原則的基準にも抵触するものでもないと解されるから,前記規約は,少なくとも設立事業所の事業主がその意思に基づいて加入員数を減少させる場合に適用される限りにおいて,同法138条5項の基準を逸脱するものではないとして,これを有効とした事例

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