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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行コ)234

事件名

 建物所有権移転登記申請却下処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成18年(行ウ)第267号)

裁判年月日

 平成20年3月27日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 建物の所有権が甲から乙,乙から丙と順次移転し,甲乙丙三者が登記権利者を丙,登記義務者を甲として登記することに異議なく同意した旨を記載した登記原因証明情報を提供してした所有権移転登記(いわゆる中間省略登記)の申請に対し,登記官が,申請情報の内容と登記原因証明情報の内容とが合致せず,不動産登記法25条8号の却下事由に該当するとしてした却下処分の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 建物の所有権が甲から乙,乙から丙と順次移転し,甲乙丙三者が登記権利者を丙,登記義務者を甲として登記することに異議なく同意した旨を記載した登記原因証明情報を提供してした所有権移転登記(いわゆる中間省略登記)の申請に対し,登記官が,申請情報の内容と登記原因証明情報の内容とが合致せず,不動産登記法25条8号の却下事由に該当するとしてした却下処分の取消請求につき,同法5条2項ただし書,18条,25条8号,59条3号及び61条並びに不動産登記令3条6号の各規定の文言及び趣旨にかんがみれば,前記各法令は,申請人に対し,登記義務者と登記権利者の間の登記原因及びその日付を証する情報を提供することを義務付け,これにより,権利に関する登記の登記事項である登記原因及びその日付が客観的な裏付けのあるものであることを確保し,もって,不動産の物権変動を公示するため権利の変動に逐一対応する登記をすることとし,申請情報と登記原因証明情報とを合致させて登記内容に物権変動の過程を正確に反映させようとすることを制度の趣旨とするものであると解するのが相当であるところ,前記申請における同法18条所定の申請情報は,前記建物の所有権が甲から丙に売買により移転したというものであり,同法61条所定の登記原因証明情報は,前記建物の所有権が甲から乙に移転し,次いで乙から丙に移転したというものであって,申請情報と登記原因証明情報が合致しないことは明らかであるから,同法25条8号所定の登記の申請を却下するべき事由があることは明らかであるとして,前記請求を棄却した事例

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