裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成19(行コ)43
- 事件名
日本語教育機関を定める処分取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成17年(行ウ)第53号)
- 裁判年月日
平成20年3月13日
- 裁判所名
大阪高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令の留学及び就学の在留資格に係る基準の規定に基づき日本語教育機関等を定める件(平成2年法務省告示第145号)の別表第2から特定の日本語学校の項を削除する内容を含む告示(平成17年法務省告示第103号)が,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとされた事例
2 出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令の留学及び就学の在留資格に係る基準の規定に基づき日本語教育機関等を定める件(平成2年法務省告示第145号)の別表第2から特定の日本語学校の項を削除する内容を含む告示(平成17年法務省告示第103号)の取消請求が,棄却された事例
- 裁判要旨
1 出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令の留学及び就学の在留資格に係る基準の規定に基づき日本語教育機関等を定める件(平成2年法務省告示第145号。以下「日本語教育機関告示」という。)の別表第2から特定の日本語学校の項を削除する内容を含む告示(平成17年法務省告示第103号。以下「本件告示」という。)につき,本件告示は,行政機関が決定した事項を一般に公示する行為で,法令の内容を補充するものといえること,日本語教育機関告示の別表第2から当該教育機関が削除された場合,外国人が同機関において教育を受ける活動をすることを前提に「就学」の在留資格の認定申請,上陸許可申請を行っても,「就学」の活動に係る上陸許可基準を満たすことにならないため,そのような在留資格を得て本邦において活動しようとする外国人が当該教育機関の入学を希望しなくなり,また,同機関において既に「就学」在留資格で在籍している外国人は,そのまま当該機関に在籍していたのでは就学の活動に係る上陸許可基準を満たさなくなり,その後の在留期間更新許可を受けられなくなるおそれが出てくるから,上記削除を受けた機関は,相当程度の確実さをもって,上記のような外国人を受け入れ,教育し続けることが困難となり,実際上,外国人に対する日本語教育を行う設備及び編成についての認定を受けた日本語教育機関としての経営自体を断念せざるを得ず,また,法務大臣から委任を受けている入局管理局長は,各地方入国管理局長宛通達(入国・在留審査要領)により,日本語教育機関が適切に学生の在籍管理を行っているか否かの実態の把握に務め,その指導等を行うとともに,日本語教育機関告示を削除,追加等をするための要件を定め,各地方入局管理局長は,その要件の充足の有無を判断すべく,実態調査をした上で,同告示削除等のりん請を行い,法務大臣の決裁を経,公示がされていることなどによれば,本件告示は,国民の権利,義務に具体的な変動・影響を及ぼすものであり,行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たるとした事例
2 出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令の留学及び就学の在留資格に係る基準の規定に基づき日本語教育機関等を定める件(平成2年法務省告示第145号。)の別表第2から特定の日本語学校の項を削除する内容を含む告示(平成17年法務省告示第103号。以下「本件告示」という。)の取消請求につき,本件告示に先立って事情聴取が3度も行われており,行政手続法13条1項違反を理由に本件告示を取り消すことはできず,また,本件告示に係る日本語学校においては,代表者が自ら指示するなどして,就学生の在留期間更新申請において,故意に虚偽の出席率を記載した(在学状況)証明書を発行していたことが認められ,このような前記日本語学校の行為は,就学の在留資格の審査において適正かつ円滑な在留管理を行うための重要な資料についての極めて悪質かつ重大な不正行為であると評価されることなどからすると,前記日本語学校を日本語教育機関としてふさわしくないとしてされた本件告示には裁量権の逸脱,濫用があったと認められるような事情は存しないとして,前記請求を棄却した事例
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