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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行ウ)15

事件名

 違法確認請求事件

裁判年月日

 平成20年5月14日

裁判所名

 横浜地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 市有地が不法に占拠されているにもかかわらず,境界確定訴訟を提起しないこと又は不動産登記法131条に基づく筆界特定申請をしないことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,市長に対して前記怠る事実の違法確認を求める訴えが,却下された事例
2 市有地が不法に占拠されているにもかかわらず,妨害排除請求又は所有権確認請求をしないことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,市長に対してされた前記怠る事実の違法確認請求が棄却された事例

裁判要旨

 1 市有地が不法に占拠されているにもかかわらず,境界確定訴訟を提起しないこと又は不動産登記法131条に基づく筆界特定申請をしないことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,市長に対して前記怠る事実の違法確認を求める訴えにつき,境界確定訴訟及び筆界特定制度において確定される境界とは,国家が行政作用によって定める公法上の境界であり,土地の所有権の反映を画する財産境界とは概念を異にするものであるところ,境界確定訴訟の提起又は筆界特定の申請により公法上の境界を画定することは,土地の財産的価値に着目し,その価値の維持,保全を図る財務的処理を直接の目的とする行為ということはできず,財務会計上の行為としての財産管理行為には当たらないとして,前記訴えを却下した事例
2 市有地が不法に占拠されているにもかかわらず,妨害排除請求又は所有権確認請求をしないことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,市長に対してされた前記怠る事実の違法確認請求につき,地方財政法8条及び地方自治法138条の2の各規定によれば,普通地方公共団体の執行機関は,公有財産たる土地が第三者に占有され,時効取得等によってその財産的価値を減少するおそれが生じている場合には,これを阻止する義務を負うところ,これを行わないことが,不法占有開始の事情,交渉の経緯,放置期間の長さ等の諸要素を総合的に考慮し,当該執行機関の裁量権の逸脱又は濫用と認められる場合には,財産の管理を違法に怠る事実に当たるとした上,前記市有地については市に帰属することを前提とした解決の可能性が存在し,直ちに訴訟を提起しなければ同市有地の財産的価値が毀損されるという状況にはなく,公有財産の管理について市長が有する裁量権の逸脱又は濫用があるとはいえないとして,前記請求を棄却した事例

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