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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成20(行コ)102

事件名

 落札決定取消・落札者たる地位確認等請求控訴事件(原審・さいたま地方裁判所平成18年(行ウ)第38号,平成19年(行ウ)第6号)

裁判年月日

 平成20年7月8日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 独立行政法人が物品の調達を目的として行った一般競争入札において,同独立行政法人が入札参加者のうち1社を落札者と決定したのに対し,他の入札参加者がした,同決定の取消しを求める訴えが,却下された事例
2 独立行政法人が物品の調達を目的として行った一般競争入札の参加者がした,同物品に関する納入契約の無効確認及び自己が落札者たる地位にあることの確認を求める訴えが,いずれも却下された事例

裁判要旨

 1 独立行政法人が物品の調達を目的として行った一般競争入札において,同独立行政法人が入札参加者のうち1社を落札者と決定したのに対し,他の入札参加者がした,同決定の取消しを求める訴えにつき,前記決定に係る落札者が前記独立行政法人と締結する物品の納入に関する契約は,一般の私人間の契約と同様に対等当事者間の法律関係である私法上の行為であり,相手方の意思にかかわらず,一方的に決定し,相手方にその受忍を強制する性質を有するものではないから,その準備的行為にすぎない前記決定は,法の認める優越的な意思の発動として行われるものではなく,取消訴訟の対象たる行政処分ということはできないとして,前記訴えを却下した事例
2 独立行政法人が物品の調達を目的として行った一般競争入札の参加者がした,同物品に関する納入契約の無効確認及び自己が落札者たる地位にあることの確認を求める訴えにつき,前記納入契約は,前記独立行政法人と落札者とが対等な立場において行う私法契約であるから,契約関係は公法上の法律関係ではなく,また,競争入札は,公告により,契約予約の申込みの誘引がなされ,これに応じて入札をすることが,契約予約の申込み,落札者の決定が,これに対する承諾としてそれぞれ位置づけられるところ,入札者又は落札者と前記独立行政法人との間には,私法上の法律関係が生じるのみであって,公法上の法律関係が生じるものではないから,前記各訴えは,いずれも行政事件訴訟法4条に定める公法上の法律関係に関する訴えではないとした上,前記各訴えに係る確認の利益について,前記納入契約は前記参加者の権利義務に何らかの影響を及ぼしているものでもなく,仮にその無効を確認したとしても,同契約の効力には影響がないことは明らかであり,それによって前記落札者の決定が影響を受けるものでもなく,前記参加者が前記独立行政法人に対して納入契約の締結を求め得ることになるものでもないことも明らかであるから,前記参加者において,前記納入契約の無効確認を求める法律上の利益は認め難いし,落札者たる地位の確認についても,端的に前記独立行政法人に対し,納入契約の承諾の意思表示の履行を求める給付請求訴訟を提起することが可能であり,その方がより有効適切な法的手段であるということができるから,落札者たる地位の確認を求める訴えの利益を欠くとして,前記各訴えをいずれも却下した事例

 

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