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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行ウ)38等

事件名

 落札決定取消請求事件,落札者たる地位確認等請求事件

裁判年月日

 平成20年1月30日

裁判所名

 さいたま地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 独立行政法人が物品の調達を目的として行った一般競争入札において,同独立行政法人が入札参加者のうちの1社を落札者と決定したのに対し,他の入札参加者がした,同決定の取消しを求める訴えが,却下された事例
2 独立行政法人が物品の調達を目的として行った一般競争入札の参加者がした,同物品に関する納入契約の無効確認及び自己が落札者たる地位にあることの確認を求める訴えが,いずれも却下された事例

裁判要旨

 1 独立行政法人が物品の調達を目的として行った一般競争入札において,同独立行政法人が入札参加者のうちの1社を落札者と決定したのに対し,他の入札参加者がした,同決定の取消しを求める訴えにつき,前記決定により決定された落札者は,契約当事者となりうる地位に立たされるにすぎず,前記決定後に契約の締結を予定しているから,前記決定は,契約の相手方選定に係る準備的行為であるというべきであり,また,落札者が前記独立行政法人と締結する前記物品納入に関する契約は,一般の私人間の契約と同様に対等当事者間の法律関係である私法上の行為であり,相手方の意思にかかわらず,一方的に決定し,相手方にその受忍を強制する性質を有するものではないことからすれば,契約の準備的行為にすぎない前記決定は,法の認める優越的な意思の発動として行われるものではなく,前記決定は,取消訴訟の対象たる行政処分ということはできないとして,前記訴えを却下した事例
2 独立行政法人が物品の調達を目的として行った一般競争入札の参加者がした,同物品の納入契約の無効確認及び自己が落札者たる地位にあることの確認を求める訴えにつき,前記納入契約は,前記独立行政法人と落札者とが対等な立場において行う私法契約であるから,契約関係は公法上の法律関係ではなく,また,競争入札は,公告により,契約予約の申込みの誘引がなされ,これに応じて入札をすることが,契約予約の申込み,落札者の決定が,これに対する承諾としてそれぞれ位置づけられるところ,入札者又は落札者と前記独立行政法人との間には,私法上の法律関係が生じるのみであって,公法上の法律関係が生じるものではないから,前記各訴えは,いずれも行政事件訴訟法4条に定める公法上の法律関係に関する訴えではないとした上,私法上の確認の訴えとして見ても,前記一般競争入札においては,予定価格の制限の範囲内で最低価格をもって有効な入札者を落札者とするとされているところ,前記参加者は,予定価格を上回る入札金額を提示したのであって参加資格その他の要件を満たした競争参加者ということもできず,同参加者の権利ないし法律上の地位に不安ないし危険があるということはできないから,前記各訴えはいずれも確認の利益を欠くとして,前記各訴えをいずれも却下した事例

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