裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成20(行コ)50
- 事件名
行政文書不開示処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成17年(行ウ)第298号)
- 裁判年月日
平成20年7月29日
- 裁判所名
東京高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
拘置所の死刑場に関する図面に記録された情報が,行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条4号所定の不開示情報(公共秩序維持情報)に当たるとされた事例
- 裁判要旨
拘置所の死刑場に関する図面に記録された情報につき,行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条4号の規定は,公にすることにより,犯罪の予防,鎮圧,捜査等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある情報については,その性質上,開示・不開示の判断に犯罪等に関する将来予測としての専門的・技術的判断を要することなどの特殊性があることから,裁判所としても行政機関の長の第一次的判断を尊重すべきであるとした趣旨であると解され,裁判所は,同号に規定する情報に該当するかどうかについて行った行政庁の判断が,合理性を持つ判断として許容される範囲内のものであるか否かについて審理・判断すべきであるとした上,前記図面は一定の縮尺の下に作成された正確かつ詳細な設計図面であるところ,これを公にすることにより,建物の外部からの死刑場建物内への侵入,同建物の襲撃,死刑執行等の妨害等を企てる者に,その適切な場所や方法を知るための資料を提供することになるということができ,さらに,死刑確定者が,自らがいずれ死刑の執行をされる死刑場建物内の構造や形状等を具体的に知悉することにより,もはや精神的安定を保つことができず,自殺,自傷行為を図ったり,逃走を試みたりするなど,死刑の執行を不能にさせ,あるいは遅延させるなど,刑の執行に支障を生じさせるおそれがあると認められるから,矯正管区長が,前記図面を公にすることにより,犯罪の予防,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を生じるおそれがあると判断したことには,十分な合理性があるというべきであるとして,前記情報は,同法5条4号所定の不開示情報(公共秩序維持情報)に当たるとした事例
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