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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行ウ)1

事件名

 認定取消処分取消請求事件

裁判年月日

 平成20年8月29日

裁判所名

 秋田地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 村長がした農業経営基盤強化促進法(昭和55年法律第65号)12条の2第2項に基づく農業経営改善計画の認定を取り消す処分について,行政手続法14条1項,3項所定の理由の提示義務に違反する違法があるとはいえないとされた事例
2 村長がした農業経営基盤強化促進法(昭和55年法律第65号)12条の2第2項に基づく農業経営改善計画の認定を取り消す処分について,同項所定の取消事由が存在しないとしてされた同処分の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 1 村長がした農業経営基盤強化促進法(昭和55年法律第65号)12条の2第2項に基づく農業経営改善計画の認定を取り消す処分について,行政手続法14条1項,3項が,不利益処分について行政庁に書面による理由の提示を義務付けた趣旨は,行政庁の判断の慎重と公正妥当を担保してそのし意を抑制するとともに,不利益処分の理由をその名あて人に知らせることによって,不服申立ての便宜を与えるという点にあると解すべきであるから,不利益処分を行う際に提示をしなければならない理由の記載の程度は,処分の名あて人が,いかなる事実関係に基づいていかなる法規が適用されて当該処分が行われたのかということをその書面の記載自体から了知し得るものでなければならないというべきであるとした上,前記処分の理由を提示する書面には認定の取消しに該当する事由として,?認定農業者として自ら作成した農業経営改善計画に従って農業経営を改善するためにとるべき措置を講じていないこと,?経営改善資金計画に沿った営農が行われていないこと及び?畑作経営を前提として取得した農地において計画に沿った営農が行われていないことが記載されているところ,前記?の記載と?の記載とを併せて読めば,村長が,当該農地において畑作が行われていないことに関し,前記計画に反するものと判断し,処分の名あて人が同計画に従って農業経営を改善するためにとるべき措置を講じていないと評価したと容易に解することができるのであるから,同人においてもその旨了知し得る程度の記載がされていると認めることができ,同人が,前記書面の記載自体から,前記農地において畑作が行われていないことに関して農業経営基盤強化促進法12条の2第2項が適用されて前記処分が行われたということを了知し得るとして,前記処分に行政手続法14条1項,3項所定の理由の提示義務に違反する違法があるとはいえないとした事例
2 村長がした農業経営基盤強化促進法(昭和55年法律第65号)12条の2第2項に基づく農業経営改善計画の認定を取り消す処分について,同項所定の取消事由が存在しないとしてされた同処分の取消請求につき,同項所定の取消事由である「認定計画に従ってその農業経営を改善するためにとるべき措置を講じていないと認めるとき」に当たるか否かは,当該認定を受けた農業者の具体的な営農方法等について,農業経営改善計画とのかい離が,市町村が定める効率的かつ安定的な農業経営を実現するための目標及び同農業者自らが定めた農業経営改善計画に照らして,認定農業者制度の趣旨に反する程度に至っているか否かにより判断すべきと解するのが相当であるとした上,前記処分を受けた農業者が,畑作経営を前提として取得した農地において,連続した2年間,畑作を行わずに米の作付けを行ったことは,前記取消事由に該当するということができるから,前記処分を受けた農業者について,前記認定の取消事由があると認められるとして,前記請求を棄却した事例

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