裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成20(行ウ)435
- 事件名
在留特別許可処分義務付け等請求事件
- 裁判年月日
平成20年8月22日
- 裁判所名
東京地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決を受け,退去強制令書発付処分を受けた者が,前記裁決及び処分の後に,新たに生じた事情を考慮して在留特別許可をすることを求める申出(いわゆる再審査情願)をしたところ,在留特別許可をしない旨の決定がされたとして,同決定の取消しを求めた訴えが,却下された事例
2 出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決を受け,退去強制令書発付処分を受けた者が,同裁決後に新たな事情が生じたことを理由に提起した在留特別許可の義務付けを求める訴えが,却下された事例
- 裁判要旨
1 出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決を受け,退去強制令書発付処分を受けた者が,前記裁決及び処分の後に,新たに生じた事情を考慮して在留特別許可をすることを求める申出(いわゆる再審査情願)をしたところ,在留特別許可をしない旨の決定がされたとして,同決定の取消しを求めた訴えにつき,法務大臣又は法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長(以下「法務大臣等」という。)が,前記裁決を受けている外国人に対し,同裁決後に生じた新たな事情を考慮して在留特別許可をすることを認めた出入国管理及び難民認定法の規定は存在せず,また,他にこのような権限を認めるべき根拠となる法令等は存在せず前記裁決及び処分を受けた外国人に対し,法務大臣等が,これらの各処分後に新たに生じた事情を考慮して在留特別許可を付与することがあるという実務上の取扱いは,出入国管理及び難民認定法に規定のない在留特別許可をする権限が法務大臣等にあることを前提として,これを行使しているものではなく,前記裁決をした法務大臣等が,再審査情願を職権発動の端緒として,同裁決後の事情変更を考慮して同裁決を職権により撤回した上で,同裁決の基礎となった同法49条1項に基づく異議の申出についての審理をやり直し,同法50条1項に基づいて改めて在留特別許可をしているものと解するのが相当であり,法務大臣等が,前記再審査情願に対して在留特別許可をしないということは,前記裁決を撤回するという職権発動をしないということに帰するものであり,職権発動をしないという不作為があるにすぎず,何らかの処分がされたものということはできないことから,前記訴えは取消しの対象を欠くものであるとして,前記訴えを却下した事例
2 出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決を受け,退去強制令書発付処分を受けた者が,同裁決後に新たな事情が生じたことを理由に提起した在留特別許可の義務付けを求める訴えにつき,法務大臣又は法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長が,前記裁決を受けている外国人に対し,同裁決後に生じた新たな事情を考慮して,在留特別許可をすることを認めた出入国管理及び難民認定法又はその他の法令等の規定は存在しないところ,同裁決を受けた外国人が,同裁決後に生じた新たな事情を主張して,在留特別許可を受けるためには,難民認定手続による場合でない限り,その前提として,同裁決の効力が失われている必要があるというべきであり,同裁決の効力が存続しているにもかかわらず,在留特別許可を求めることは,行政庁に法的権限のない処分を求めることにほかならないから,そのような在留特別許可の義務付けの訴えは,不適法であるというべきであるとした上,前記の者に対する前記裁決の効力が失われているということはできないとして,前記訴えを却下した事例
- 全文