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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成20(行コ)107

事件名

 難民の認定をしない処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成18年(行ウ)第491号)

裁判年月日

 平成20年8月27日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 ミャンマー連邦国籍を有する男性に対して,法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長がした出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分が,無効であるとされた事例

裁判要旨

 ミャンマー連邦国籍を有する男性に対して,法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長がした出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分につき,法務大臣は前記男性を難民と認定しなければならなかったのであり,東京入国管理局長は前記男性の難民該当性を考慮せずにその権限を行使した結果,前記処分をしたのであるから,前記処分は法律の適用を誤ったものとして違法というべきとした上,前記男性が難民に該当することは在留を特別に許可すべき事情として重大な考慮要素であるというべきであり,前記男性に対して定住者の在留資格取得の許可又は在留特別許可がされた蓋然性が極めて高いものというべきにもかかわらず,同処分は,難民である前記男性を迫害のおそれのあるミャンマーに送還するものであって,同人に回復不可能な損害を被らせる結果を招来するものであり,出入国管理及び難民認定法61条の2の2の規定のほか,我が国が批准している難民の地位に関する条約及び拷問及び他の残虐な,非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約等の定める人道的配慮に明らかに反するものというべきであり,この観点から見れば,前記処分の瑕疵は,出入国管理及び難民認定法の根幹についての重大な過誤であるとともに,前記男性が難民の要件を満たすことを前提とする限り,何人の判断によっても前記処分とは異なる結論に達し得る程度に明らかといえるから,その瑕疵は客観的に明白であるとして,前記処分を無効であるとした事例

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