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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行コ)11

事件名

 原子爆弾被爆者認定申請却下処分取消等請求控訴事件(原審 仙台地方裁判所平成15年(行ウ)第33号)

裁判年月日

 平成20年5月28日

裁判所名

 仙台高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の各申請に対し,厚生労働大臣がした同申請を却下する旨の各処分は,各申請者の疾病の要医療性又は放射線起因性についての判断を誤り違法であるなどとしてされた前記各処分の取消請求が,認容された事例

裁判要旨

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の各申請に対し,厚生労働大臣がした同申請を却下する旨の各処分は,各申請者の疾病の要医療性又は放射線起因性についての判断を誤り違法であるなどとしてされた前記各処分の取消請求につき,前記処分は,原子爆弾被爆者医療分科会が策定した「原爆症認定に関する審査の方針」における基準に基づき審査し,却下相当の意見を答申したことからされたものであり,その適否の判断は,前記基準を適用してなされた放射線起因性の審査が対象となるべきではあるが,その後に放射線起因性の基準を緩和して策定された「新しい審査の方針」の下で原爆症の認定申請をした者との間に不均衡が生じ,不合理な結果を招来することになるから,前記「新しい審査の方針」に基づき放射線起因性の有無を判断するとした上,前記申請者のうち1名の申請に係る疾病である「膀胱がん」については前記「新しい審査の方針」の定める放射線起因性に関する基準に適合しており,放射線起因性を否定すべき生活状況,環境因子等の格別の事由がうかがわれず,他の申請者の申請に係る疾病である胃切除後障害(早期及び後期ダンピング障害,栄養障害,貧血)については,放射線起因性の認められる胃がん治療に必然的,不可避的に伴う症状であり,放射線起因性について争いのない胃がんの疾病と相当因果関係にある疾病と是認することができることから,いずれも放射線起因性が認められ,かつ,要医療性が認められるとして,前記各請求をいずれも認容した事例

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